人生崖っぷち(物理)

森林鉄道、廃道、廃隧道など

音水の4つのインクライン 03

季節はめぐって11月。3度目の探索が始まった、が、天気予報によると降水確率がちと微妙。濡れた鉄橋とかぬかるんだインクラの急斜面とか雨によって今回の対象は難易度が上がるため中音水への侵入は今日は中止。早朝に到着したした時点ではかろうじて雨が降っていなかったので別のターゲットに切り替える。それは 

f:id:msx4:20170817215901j:plain f:id:msx4:20170817215936j:plain

f:id:msx4:20170817220155j:plain

 音水第1インクラインである。中音水林道入口の”いんくら橋”の横に橋台が存在し(2枚目の写真)山肌に少し踏み込むと巨大な坂道が目に飛び込んでくる。(3枚目の写真)

f:id:msx4:20170818214327j:plain ちなみにこの斜面を正面から登ったわけではなく、横につづら折りの坂道が存在しているのでそちらを写真を撮りながらえいこらさと登っていく。運動不足のミドルの足で歩くこと40分、上部軌道に到着。

f:id:msx4:20170818220332j:plain

f:id:msx4:20170818220520j:plain f:id:msx4:20170818220558j:plain

 

f:id:msx4:20170818220852j:plain

 インクラインを上から覗きこむと体が吸い込まれるような気がした。ちょうどこの時小雨が降ってきて枯れ葉が程よく濡れていたので1歩踏み出せばとても良く滑りそうだった。

f:id:msx4:20170818222626j:plain

f:id:msx4:20170818222751j:plain f:id:msx4:20170818222858j:plain

 上部軌道を15分ほど歩き、レールや桟橋の跡が残っていた地点のすぐ先で路盤は大きく崩落していたためそこで撤収。

f:id:msx4:20170819053951j:plain

 その後、無事下界に降りると雨脚が強くなったため車で上流に移動して林道と軌道の合流地点を見てみた。

f:id:msx4:20170819055318j:plain

 

f:id:msx4:20170819055414j:plain

f:id:msx4:20170819055434j:plain

ちなみに上部軌道の真ん中はガチらしいので行ってません。いつか踏破してみたいものです。それはともかくこれで2つのインクラインをクリア、次はいよいよ未確認の残り2つを探索する。

        f:id:msx4:20170819061314j:plain

        探索後道の駅で食べた笹うどん。うまかった。

 

               音水の4つのインクライン 04に続く

音水の4つのインクライン 02

実を言うとこの中音水の探索、当初の目標は橋梁9のハイブリッド橋であった。ネットや書籍で得た事前の情報ではこれこそ最奥のメインディッシュとばかりに紹介されており、実際自分自身で目のあたりにして素直にすごいと思ったのは事実である。しかし音水の最奥はここではなかった。例えるならダンジョンの隠し通路の前に宝箱を置いて冒険者の目をあざむいたような状態とでも言えば良いのだろうか?

f:id:msx4:20170812010209j:plain f:id:msx4:20170812010241j:plain

橋梁10を過ぎてしばらく進むと路盤は消えていた。右上の写真は対岸だがそちらにも軌道の続きは見受けらず、小道が上流へ伸びている(左下写真)がすぐ先で斜面を登る山道になっていた。ここが軌道の終点かと未練がましく辺りを見渡した。

f:id:msx4:20170812011446j:plain f:id:msx4:20170812011357j:plain

                 あ っ た

f:id:msx4:20170812224122j:plain

石垣があった! 対岸の斜面に!それは予想外のインクライン!林道入り口のだけじゃなかったのか。(帰ってから「廃道をゆく2」を読み直したらちゃんと複数のインクラが作られていたと明記してあった。迂闊。)浮かれる心を抑えつつその行き先を見てみるがいったいどこまで伸びているのか分からない。しかし進まない手はない。

最初はインクラにしては珍しく凸型の路盤だったが、しばらく上ると凹型に変わった。

f:id:msx4:20170812232556j:plain f:id:msx4:20170812232622j:plain

 

f:id:msx4:20170812233306j:plain

やがて道筋は左に傾き始め最終的には見失ってしまったが、程なく切り立った尾根に到達して左に進むとそこが上部軌道の始まりであった。

f:id:msx4:20170812233509j:plain f:id:msx4:20170812233534j:plain

f:id:msx4:20170812235025j:plain

f:id:msx4:20170812235406j:plain f:id:msx4:20170812235422j:plain

落石やらレールやらを写真に収めながら、時たま崩れたり埋もれたりしている軌道跡を10分ほど歩くと大きな沢に出た。もちろん橋は無く、この先がどこまで続いているかも分からなかったためここで撤収。

     f:id:msx4:20170813001507j:plain

帰宅後詳しく調べてみると林道入口のモノと今回見つけたモノ、それ以外にも2つのインクラがあり合計4つのインクラインがあるらしい。あると分かっているのなら話が早い。4つのインクラインと4つの上部軌道。長い探索が始まった。

 

             音水の4つのインクライン 03に続く

              

                    参考文献 イカロス出版「廃道をゆく2」

 

音水の4つのインクライン 01

お待たせしました。ネットがつながり久々の更新となります。今回は少し長めになりますがお暇でしたらどーぞ。さて今回のターゲットは兵庫県の北西部、宍粟市に存在していた”音水(おんずい)森林鉄道”(波賀森林鉄道)の音水線と中音水線の4つのインクラインです。簡単に説明しますと上野の貯木場から引原川に沿って”大通り”というべき幹線があり、その途中の支流に”脇道”即ち支線が何本も伸びていました。その中でも初期に音水川に沿って作られた音水線と、その隣の中音水川で最後まで稼働していた中音水線には合計4つのインクラインがあったそうです。時に2015年4月、第2次音水アタックを開始・・・え、第1次?2月に行ったら雪で林道にすら入れませんでしたよチクショー。ちなみにこの時点ではネットと書籍の情報から「(第1の)インクラの存在」と「中音水の奥にはいっぱい橋がある」しか知りませんでした。

f:id:msx4:20170807182740j:plain

ここは音水川をさかのぼり集落の中ほどで左を向いたところ。林鉄は左奥に見える赤い欄干の橋で音水川を渡ってきて、今自分が立っている場所で180度ターンして右の道

に入っていったのだが、当初は川を渡った山肌を真っ直ぐインクラインで高低差200mを登り切り、右、つまり上流方向へ進んでいた。これが音水の軌道。そしてインクラインが廃止された後は川を渡った後左折し、山をぐるりと回り込んで山向こうの中音水川に入っていった。これが中音水の軌道であり現中音水林道である。これが今日のターゲット。

 f:id:msx4:20170807190944j:plain

 林道を48分ぐらい歩くと終点に到達する。THE END。ではなくこの左下に軌道跡が存在する。林道は軌道跡を流用しているが、後半部分でそのラインにはズレが生じている。今後林道を延長することがあっても出来れば軌道跡に影響しなければよいのだが。さてここからが本格的な探索だがインクラがこの記事の主役なので少しギアをあげていこう。

f:id:msx4:20170807222515j:plain橋梁1。鋼製で最初の関門。

          f:id:msx4:20170807222902j:plain振り返って橋梁2。コンクリ製で枕木が残る。1が奥に見える。

f:id:msx4:20170807223621j:plain f:id:msx4:20170807223908j:plain

橋梁3。鋼製。本流を渡る。枕木の最後の1本よお前はまだやれる!(7カ月後には消えてました( ;∀;)

f:id:msx4:20170807224242j:plain橋梁4跡。コンクリの残骸あり。諸行無常

         f:id:msx4:20170807224510j:plain

振り返って橋梁5。コンクリ製。枕木の最後の1本よお前はry

    f:id:msx4:20170807225324j:plain

振り返って180度ターン隧道入口。尾鷲に似たような車道がありますな。

f:id:msx4:20170807230043j:plain

橋梁5,6,7。コンクリ製。このカットはお気に入り。

f:id:msx4:20170807230925j:plain橋梁8&切り通し。ヤバい。かっこいい。

f:id:msx4:20170807231131j:plain f:id:msx4:20170807231204j:plain

振り返って橋梁8。結構高い。切り通し内部の地味にレアな4本そろいの犬釘。

f:id:msx4:20170807232153j:plain地面に映る謎の影。地獄からの使者ではない。     f:id:msx4:20170807232623j:plain f:id:msx4:20170807232542j:plain

橋梁9&旧橋台。倒壊部分を木で補修したハイブリ橋だが木橋の現存は難しかったようだ。ちょっとだけ残っている。

f:id:msx4:20170807234334j:plain f:id:msx4:20170807234444j:plain

 

f:id:msx4:20170807234608j:plain

 この上を昔機関車が走っていたとはイメージし難い。が、よく残っていてくれた。

          f:id:msx4:20170807235340j:plain

振り返って橋梁10跡。木製。さすがに現存していない。実は渡っていた沢のほうが後々脚光を浴びる。主な橋梁はこれでラスト。これからがメインディッシュである。

 

            音水の4つのインクライン 02へ続く

 

異動であります

急な転勤が決まり、しばらく更新はお待ちください。さようなら清水谷隧道、安養寺隧道。久しぶり口野隧道、三津坂隧道。では2010年の白い悪魔でもご覧になってお待ち下さい。

f:id:msx4:20170701211456j:plain

f:id:msx4:20170701211425j:plain

 

f:id:msx4:20170701211536j:plain

 

f:id:msx4:20170701211614j:plain

 

            音水の4つのインクラインに続く

十津川村の林鉄廃隧道群(?)07 (完?)

何か黒っぽい丸い影が見えた瞬間ここ十津川で3度目の雄たけびを上げながら突進した。

f:id:msx4:20170615235448j:plain

 

f:id:msx4:20170615235542j:plain

まさかの3本目!!!間違いなく人工の穴だ!旧隧道?奥はどうなってる?貫通してるのか?閉塞か?ちくしょうなんでこんな時にメインのライトを忘れちまったのか。(現在サブのライトのみ)f:id:msx4:20170617003940j:plain

 入り口は半ばまで埋もれていて中も土砂が溜まっているようだ。しかもガガンボみたいなでっかい虫がゆらゆらと楽しそうにゆれながらいっぱい飛んでいる。とりあえずちょっとだけ侵入!

f:id:msx4:20170617010443j:plain

どうやら閉塞しているようだが・・・これは崩れたというより埋め戻している?

f:id:msx4:20170617005139j:plain

最奥部が見えた!コンクリートの壁だ!ということは第2の隧道のコンクリート巻きの部分に突き当たっているのか。とするとこの穴の正体は? ①旧隧道。後で現在地に作り直した ②現隧道の作業用横坑もしくは空気穴 ③魅惑の洞内分岐だった ④それとも・・・謎は深まるばかりである。

 f:id:msx4:20170617224005j:plain

しかし訪問する度に穴を見つけるっておかしくないだろうか。もう1回行ってみようかしら。それはともかく結局これらの隧道の正体、というよりもこの隧道がある場所の変遷がよく分からないというべきか。最初に林鉄の軌道があり、その後ダム工事のコンベヤ道が作られたのだろうか?それでも矛盾点が浮かび上がるし、この両者がイコールなのかも分からない。自分は踏破専門で考察は苦手なのです申し訳ない。

 

          謎を残しつつも十津川村の林鉄廃隧道とりあえず完 

十津川村の林鉄廃隧道(?)06

f:id:msx4:20170613155620j:plain

そこは山の斜面を掘り下げて作ったちょっとした広場になっていた。それは少しもおかしくない。おかしいのは地面の高さで隧道の床面との高低差が1mちょっとある。

f:id:msx4:20170613160502j:plain f:id:msx4:20170613161214j:plain

坑門の前にコンクリの基礎のようなものがあるから元からこの高さであったことは間違いない。そして20mも歩くと急斜面が川に向かって落ち込んでおり、そこから先に道の跡は見受けられなかった。この先に道は無い。ここが終点で木材を集めていたのならおかしくはないが、もしこの先に道があり行き先があるとすれば・・・

f:id:msx4:20170613224956j:plain

道筋の直線上には風屋ダムがそびえている。昭和33年本工事が着工されており、林鉄は20年代まで稼働していたという。(wiki及び日本の廃道より)風屋ダムの建設資材を土場のあった場所から2本の隧道を通り、終点から索道(ロープで荷物を吊るす方法)で運んでいたのではないか?つまり林鉄の軌道跡ではなくダム工事の資材運搬用の軌道跡ではないか?そう思った。日本の廃道17年4月号がでるまでは。

明細は省くがやはり林鉄の跡ではないかという推論と証拠が載っていた。ありゃりゃ間違ってたか、でも個人的には見つけたものが林鉄由来のほうが嬉しかったりする。林鉄屋だし。そしてつい先日の5月、天川村探索のついでに2年半ぶりに訪問した。時刻は朝6時。元土場の小学校横に車を止め、探索の準備を進めているとむこうから朝のウォーキングをしている人が歩いてきた。

 

「釣りかい?」  「いえ山歩きです」  「どこの山に登るのかね」   「いえ、この上の(指差しながら)ほうにある軌道跡の隧道を見にきたんですよ」   

 

 

   「ああ、ダム工事のベルトコンベヤの」   「 え 」

 

まさかの衝撃的証言であった。やっぱりダム工事のものだった?恥ずかしながら衝撃で会話の細かい部分を忘れてしまったが”昭和32年”という具体的な年数が出てきたのは覚えている。そして”ベルトコンベヤ”という固有名詞が出てきたことはこの証言の信ぴょう性が極めて高いと思われる。というかダム工事にしても軌道じゃなくて、ベルトコンベヤか!林鉄専門で近代土木のほうに頭が回らなかった結果がこれである。だがこれで幾つかのことが腑に落ちた。軌道用にしては見たことない形の橋脚。隧道内で軌道と違って上を歩く訳にはいかないので中心よりずれた設置場所。何よりあの”木”はコンベヤをおく台だと考えると納得がいく。

f:id:msx4:20170614010952j:plain そして1つめの隧道前に落ちていた電気部品(名前知らない)に描かれた1957(昭和32年)の数字。やはりダム工事か。でもそれだとおかしいというデータも出ている。むむむ?

f:id:msx4:20170614012033j:plain 隧道内のかえるさん、何か知らんかね?

 

f:id:msx4:20170614012320j:plain 考えてもわからないので朝食をとる。

 

f:id:msx4:20170614012946j:plain 2つめの坑門を横から見る。正面から見える部分がそのまま山肌に、というわけではないようだ。

 

f:id:msx4:20170614013751j:plain ふと横を見ると踏み分け道らしきものがある。

 

 

 

f:id:msx4:20170614014734j:plain

 

         ・・・ナニカ見エルキガスルンデスガ

 

 

               十津川村の林鉄廃隧道(?)07へ続く

 

 

 

十津川村の林鉄廃隧道(?)05

f:id:msx4:20170609222112j:plain

まさかの2本目である。何か変だと思いはじめた。何故なら今いるこの場所は蛇行した支流の栗平川によって半島状になっており、国道の高原隧道の坑門から真横に1kmちょい進むとぐるりと回って反対側の出口にぶつかり、2kmも進むと小さいほうの高原隧道、つまり上流に向かう軌道の本線にぶつかってしまうような狭い土地なのである。そんなところに隧道を2本も造るのは採算的にどうかと思った。

f:id:msx4:20170609225712j:plain

それとこの隧道内部である。床が全面コンクリートで固められ、ボルトのついたコンクリートの土台が等間隔に並んでいる。しかも中心から少し横にずれている。この時までは林鉄の軌道だと確信していたのでこれを見た時は何か特殊な作りの軌道なのかと真剣に悩んでしまった。そしてしばらく進むとソレが現れた。

f:id:msx4:20170609231652j:plain

木?木のレール!?まさか木製レール?鉄のレールの普及以前にごく一部で使われたというあれか!?といった感じでこの時はだいぶ混乱していた。何せ現物どころか資料さえほとんど見たことがない代物であり、パッと見レールにしか見えなかったから

というのもある。でもだんだん落ち着いてきてよく見てみると

f:id:msx4:20170609234251j:plain f:id:msx4:20170609234438j:plain

木製レールなら上に鉄板を張り付けているはずだがそれらしきものが見えない。しかも固定に使われているボルトが上にとび出ている。他にも天井に電気が通っているのに年代的な違和感など疑問点がいろいろと出てきて・・・ええいとりあえず横に置いといて前進してみよう。

f:id:msx4:20170610000350j:plain f:id:msx4:20170610000419j:plain

f:id:msx4:20170610000544j:plain f:id:msx4:20170610000928j:plain

天井はコンクリ巻き、素掘り、コンクリ巻き、素掘り、コンクリ巻きの順で床は一部土砂が堆積していたけれど多分全面コンクリートで施工されている。そして出口は

f:id:msx4:20170610002413j:plain

                  ん?

f:id:msx4:20170610002544j:plain

                    え?

f:id:msx4:20170610002628j:plain

               なんじゃこりゃ?

 

            十津川村の林鉄廃隧道(?)06へ続く