人生崖っぷち(物理)

森林鉄道、廃道、廃隧道など

波賀森林鉄道 音水、中音水の4つのインクライン 05

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第3インクラインへの渡河地点から上流を見渡すが軌道の跡を見いだすことが出来なかった。分からない。第2インクラインへ続く道はどこにあるのか。しかし、いざとなれば最終手段が残されている。それは

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川沿いに遡ったのち直接上部軌道を目指す!そうすればインクラインの場所もおのずと判明するはずである。

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しばらく進むと両岸に岩が張り出しまるで門のような場所があった。  この時点で軌道が川沿いにある可能性は少なくなった。木製の桟橋による作業軌道だったというならともかく痕跡がゼロである。ならばこの巨岩の上を通っているはずだが、そこへ通じる道が分からない。

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そして二つの流れの合流地点に到達する。真ん中には中音水川源流地点の碑が建てられている。左を行くと途中まで進んだ第3インクラの上部軌道の奥地に通じるはずだ。そして進むべき道はもちろん右である。

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谷の右側を見上げるが、パッと見軌道の平場は確認できない。本当にこの上に軌道跡があるのか?などと思っていたら

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ヘイヘイこの先ですよ旦那と言わんばかりにレールが落ちていた。軌道の存在がこれで確定した。そして前方に見える光景が地図に書かれていた名を思い出させた。

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”滝の谷”と。

 

             音水の4つのインクライン 06へ続く

波賀森林鉄道 音水、中音水の4つのインクライン 04

さて、今回の第三次探索にあたって事前にネットで情報収集をしたのだが、その中で「林鉄の軌跡」という本に掲載されていた音水の軌道の地図を入手することが出来た。そして前回探索した橋梁9(ハイブリッド橋)と発見した(第3)インクライン付近を略図にしたものが次の画像である。

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そして歩いてみた実際の軌道跡を加えたものが次の画像。

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地図と実際の軌道が微妙に違っている場所がある。しかし基本的にはそんなにずれていないはずなのでこれを基にして今回は第2インクラインを探すことにする。ちなみにインクラインに付いている番号は作られた順番を示し、新しいインクラの建設とともに前のインクラは廃止されていったらしい。

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探索2日目。中音水に突入する。

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 落葉がきれいである。

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犬釘も絶好調(?)というわけでハイブリッド橋の地点へ直行し、左岸に渡って第2インクラへと続く道を探す。

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すると斜面に1つの道筋を発見。しかも地図とおなじように進行方向と逆のほうへ山肌を登っている。これは・・・

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しかしすぐに橋梁10が渡っていた沢に到達、そこに築かれていた砂防ダムに突き当たって消えていた。ということは堰堤建設用の作業道か、残念。

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第三インクラまで付近をくまなく探してみたが道は見つからなかった。残る可能性は”更に上流”だ。そして・・・迷走が始まった。

 

            音水の4つのインクライン 05へ続く

 

                 参考文献 ないねん出版「林鉄の軌跡」

 

波賀森林鉄道 音水、中音水の4つのインクライン 03

季節はめぐって11月。3度目の探索が始まった、が、天気予報によると降水確率がちと微妙。濡れた鉄橋とかぬかるんだインクラの急斜面とか雨によって今回の対象は難易度が上がるため中音水への侵入は今日は中止。早朝に到着したした時点ではかろうじて雨が降っていなかったので別のターゲットに切り替える。それは 

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 音水第1インクラインである。中音水林道入口の”いんくら橋”の横に橋台が存在し(2枚目の写真)山肌に少し踏み込むと巨大な坂道が目に飛び込んでくる。(3枚目の写真)

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 インクラインを上から覗きこむと体が吸い込まれるような気がした。ちょうどこの時小雨が降ってきて枯れ葉が程よく濡れていたので1歩踏み出せばとても良く滑りそうだった。

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 上部軌道を15分ほど歩き、レールや桟橋の跡が残っていた地点のすぐ先で路盤は大きく崩落していたためそこで撤収。

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 その後、無事下界に降りると雨脚が強くなったため車で上流に移動して林道と軌道の合流地点を見てみた。

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ちなみに上部軌道の真ん中はガチらしいので行ってません。いつか踏破してみたいものです。それはともかくこれで2つのインクラインをクリア、次はいよいよ未確認の残り2つを探索する。

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        探索後道の駅で食べた笹うどん。うまかった。

 

               音水の4つのインクライン 04に続く

波賀森林鉄道 音水、中音水の4つのインクライン 02

実を言うとこの中音水の探索、当初の目標は橋梁9のハイブリッド橋であった。ネットや書籍で得た事前の情報ではこれこそ最奥のメインディッシュとばかりに紹介されており、実際自分自身で目のあたりにして素直にすごいと思ったのは事実である。しかし音水の最奥はここではなかった。例えるならダンジョンの隠し通路の前に宝箱を置いて冒険者の目をあざむいたような状態とでも言えば良いのだろうか?

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橋梁10を過ぎてしばらく進むと路盤は消えていた。右上の写真は対岸だがそちらにも軌道の続きは見受けらず、小道が上流へ伸びている(左下写真)がすぐ先で斜面を登る山道になっていた。ここが軌道の終点かと未練がましく辺りを見渡した。

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                 あ っ た

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石垣があった! 対岸の斜面に!それは予想外のインクライン!林道入り口のだけじゃなかったのか。(帰ってから「廃道をゆく2」を読み直したらちゃんと複数のインクラが作られていたと明記してあった。迂闊。)浮かれる心を抑えつつその行き先を見てみるがいったいどこまで伸びているのか分からない。しかし進まない手はない。

最初はインクラにしては珍しく凸型の路盤だったが、しばらく上ると凹型に変わった。

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やがて道筋は左に傾き始め最終的には見失ってしまったが、程なく切り立った尾根に到達して左に進むとそこが上部軌道の始まりであった。

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落石やらレールやらを写真に収めながら、時たま崩れたり埋もれたりしている軌道跡を10分ほど歩くと大きな沢に出た。もちろん橋は無く、この先がどこまで続いているかも分からなかったためここで撤収。

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帰宅後詳しく調べてみると林道入口のモノと今回見つけたモノ、それ以外にも2つのインクラがあり合計4つのインクラインがあるらしい。あると分かっているのなら話が早い。4つのインクラインと4つの上部軌道。長い探索が始まった。

 

             音水の4つのインクライン 03に続く

              

                    参考文献 イカロス出版「廃道をゆく2」

 

波賀森林鉄道 音水、中音水の4つのインクライン 01

お待たせしました。ネットがつながり久々の更新となります。今回は少し長めになりますがお暇でしたらご覧ください。さて今回のターゲットは兵庫県の北西部、宍粟市に存在していた波賀森林鉄道の音水線と中音水線の4つのインクライン(レールが敷かれた斜面を上側からワイヤーで引っ張って昇り降りする装置)です。簡単に説明しますと上野の貯木場から引原川に沿って”大通り”というべき幹線があり、その途中の支流に”脇道”即ち支線が何本も伸びていました。その中でも初期に音水川に沿って作られた音水線と、その隣の中音水川で最後まで稼働していた中音水線には合計4つのインクラインがあったそうです。時に2015年4月、第2次音水アタックを開始・・・ちなみに第1次は2月に訪問しましたが雪で林道にすら入れませんでしたよコンチクショー。それとこの時点ではネットと書籍の情報から「(第1の)インクラの存在」と「中音水の奥にはいっぱい橋がある」しか知りませんでした。

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ここは音水川をさかのぼり集落の中ほどで左を向いたところ。林鉄は左奥に見える赤い欄干の橋の位置で音水川を渡ってきて、今自分が立っている場所で180度ターンして右の道

に入っていったのだが、当初は川を渡った山肌を真っ直ぐインクラインで高低差200mを登り切り、右、つまり上流方向へ進んでいた。これが音水の軌道。そしてインクラインが廃止された後は川を渡った後左折し、山をぐるりと回り込んで山向こうの中音水川に入っていった。これが中音水の軌道であり現中音水林道である。これが今日のターゲット。

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 林道を48分ぐらい歩くと終点に到達する。THE END。ではなくこの左下に軌道跡が存在する。林道は軌道跡を流用しているが、後半部分でそのラインにはズレが生じている。今後林道を延長することがあっても出来れば軌道跡に影響しなければよいのだが。さてここからが本格的な探索だがインクラがこの記事の主役なので少しギアをあげていこう。

f:id:msx4:20170807222515j:plain橋梁1。鋼製で最初の関門。

          f:id:msx4:20170807222902j:plain                          振り返って橋梁2。 コンクリ製で枕木が残る。1が奥に見える。

 

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橋梁3。鋼製。本流を渡る。枕木の最後の1本。(7カ月後には消えてました・・・)

f:id:msx4:20170807224242j:plain橋梁4跡。コンクリの残骸あり。諸行無常

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振り返って橋梁5。コンクリ製。枕木の最後の1本・・・

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振り返って180度ターン隧道入口。尾鷲に似たような車道がありますな。

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橋梁5,6,7。コンクリ製。このカットはお気に入り。

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       橋梁8&切り通し。ヤバい。かっこいい。

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振り返って橋梁8。結構高い。切り通し内部の地味にレアな4本そろいの犬釘。

f:id:msx4:20170807232153j:plain地面に映る謎の影。     f:id:msx4:20170807232623j:plain f:id:msx4:20170807232542j:plain

橋梁9&旧橋台。倒壊部分を木で補修したハイブリット橋だが木橋の現存は難しかったようだ。ちょっとだけ残っている。

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 この上を昔機関車が走っていたとはイメージし難い。が、よく残っていてくれた。

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振り返って橋梁10跡。木製。さすがに現存していない。実は渡っていた沢のほうが後々脚光を浴びる。主な橋梁はこれでラスト。これからがメインディッシュである。

 

            音水の4つのインクライン 02へ続く

 

異動であります

急な転勤が決まり、しばらく更新はお待ちください。さようなら清水谷隧道、安養寺隧道。久しぶり口野隧道、三津坂隧道。では2010年の白い悪魔でもご覧になってお待ち下さい。

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            音水の4つのインクラインに続く

十津川村の林鉄廃隧道群(?)07 (完?)

何か黒っぽい丸い影が見えた瞬間ここ十津川で3度目の雄たけびを上げながら突進した。

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まさかの3本目!!!間違いなく人工の穴だ!旧隧道?奥はどうなってる?貫通してるのか?閉塞か?ちくしょうなんでこんな時にメインのライトを忘れちまったのか。(現在サブのライトのみ)f:id:msx4:20170617003940j:plain

 入り口は半ばまで埋もれていて中も土砂が溜まっているようだ。しかもガガンボみたいなでっかい虫がゆらゆらと楽しそうにゆれながらいっぱい飛んでいる。とりあえずちょっとだけ侵入!

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どうやら閉塞しているようだが・・・これは崩れたというより埋め戻している?

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最奥部が見えた!コンクリートの壁だ!ということは第2の隧道のコンクリート巻きの部分に突き当たっているのか。とするとこの穴の正体は? ①旧隧道。後で現在地に作り直した ②現隧道の作業用横坑もしくは空気穴 ③魅惑の洞内分岐だった ④それとも・・・謎は深まるばかりである。

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しかし訪問する度に穴を見つけるっておかしくないだろうか。もう1回行ってみようかしら。それはともかく結局これらの隧道の正体、というよりもこの隧道がある場所の変遷がよく分からないというべきか。最初に林鉄の軌道があり、その後ダム工事のコンベヤ道が作られたのだろうか?それでも矛盾点が浮かび上がるし、この両者がイコールなのかも分からない。自分は踏破専門で考察は苦手なのです申し訳ない。

 

          謎を残しつつも十津川村の林鉄廃隧道とりあえず完