人生崖っぷち(物理)

森林鉄道、廃道、廃隧道など

波賀森林鉄道 音水、中音水の4つのインクライン 07

見つからない軌道跡に見切りを付けて、もう一つの上部軌道を目指して歩き始める。地形の関係上難しいがなるべく平行移動を試みる。

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そして歩くこと1時間ほどで反対側の流れにたどり着く。はたして軌道跡は・・・

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どんぴしゃ!午前中の迷走が嘘のように軌道跡に降り立った。これが第3インクラから続く上部軌道跡だ。そして上流方向に数十m歩くとそこが軌道の終点だった。

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平場は川の流れにさえぎられる様に消失し、そこには朽ちた枕木が緑に包まれていた。

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 そして下流方向に向かい歩き出す。路盤もあまり荒れておらず割と歩きやすかった。

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 20分ほど歩くと見覚えのある沢に出た。前回の撤退地点だ。

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後は前回たどった道を逆行して第3インクラを滑り降り(比喩表現ですよ)帰路に就・・・こうとしてまだ時間に余裕があった。ならばあそこに行ってみよう。地図に記されていた最後の1つ、第4インクラだ!

 

          波賀森林鉄道 中音水の4つのインクライン 08へ続く       

流血のファーストアタック

本日山梨県の某林道を歩いていたのですが、道を外れて少し山に踏み入ったとたんヤマビルにたかられました。大小10匹以上を相手取り4匹に吸われ靴下が流血の惨事に見舞われました。皆さんもこの季節は十分注意しましょう。資料がほとんどないマイナー物件だったが手ごたえ有り。冬にリベンジだ。

 

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                ヒルがいなくなったら続きます  

 

           追記・ やられたとこ4か所かと思ったら5か所だった。めっちゃかゆい。

波賀森林鉄道 音水、中音水の4つのインクライン 06

     

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目の前にそびえる大小様々な階段状の滝を見て、これ以上の前進は無理と判断した。ここで当初の予定通りに斜面の登攀を開始。

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黙々とひたすら登る。が、軌道跡が見当たらない。

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さすがにこの上は無いだろという、か細い流れの岸壁を見上げるが、ここより下もそれらしき平場は見当たらない。

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たまに平場っぽい場所があるがピンポイントで存在し、その前後に延びていないので天然の地形に見える。

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                   ない

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                 ない 

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見つからない!思わずこんな写真を撮って現実逃避したくなるほど軌道跡が見当たらなかった。まさかもっと上なのか、それとも跡さえも残っていないのか・・・焦りと苛立ちと疲れに蝕まれながらも斜面を前進する。

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かなり高い位置まで登っていたが、本流も幾多の滝によってグイグイと高度を稼いできた。そして川岸を離れて2時間強。

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「林鉄の軌跡」の地図が正確ならばこのあたりが軌道の最奥部のはずだが・・・ 

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 やはり軌道跡は見当たらない。もうなんだかめんどくさくなってしまい、これからどうしようかと考え込む。その時ふと思いついたのが

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「このまま平行に進んで山を越えれば第3インクラの奥へ出るんじゃないか?」であった。

 

           波賀森林鉄道 中音水の4つのインクライン 07へ続く

 

波賀森林鉄道 音水、中音水の4つのインクライン 05

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第3インクラインへの渡河地点から上流を見渡すが軌道の跡を見いだすことが出来なかった。分からない。第2インクラインへ続く道はどこにあるのか。しかし、いざとなれば最終手段が残されている。それは

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川沿いに遡ったのち直接上部軌道を目指す!そうすればインクラインの場所もおのずと判明するはずである。

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しばらく進むと両岸に岩が張り出しまるで門のような場所があった。  この時点で軌道が川沿いにある可能性は少なくなった。木製の桟橋による作業軌道だったというならともかく痕跡がゼロである。ならばこの巨岩の上を通っているはずだが、そこへ通じる道が分からない。

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そして二つの流れの合流地点に到達する。真ん中には中音水川源流地点の碑が建てられている。左を行くと途中まで進んだ第3インクラの上部軌道の奥地に通じるはずだ。そして進むべき道はもちろん右である。

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谷の右側を見上げるが、パッと見軌道の平場は確認できない。本当にこの上に軌道跡があるのか?などと思っていたら

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ヘイヘイこの先ですよ旦那と言わんばかりにレールが落ちていた。軌道の存在がこれで確定した。そして前方に見える光景が地図に書かれていた名を思い出させた。

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”滝の谷”と。

 

             音水の4つのインクライン 06へ続く

波賀森林鉄道 音水、中音水の4つのインクライン 04

さて、今回の第三次探索にあたって事前にネットで情報収集をしたのだが、その中で「林鉄の軌跡」という本に掲載されていた音水の軌道の地図を入手することが出来た。そして前回探索した橋梁9(ハイブリッド橋)と発見した(第3)インクライン付近を略図にしたものが次の画像である。

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そして歩いてみた実際の軌道跡を加えたものが次の画像。

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地図と実際の軌道が微妙に違っている場所がある。しかし基本的にはそんなにずれていないはずなのでこれを基にして今回は第2インクラインを探すことにする。ちなみにインクラインに付いている番号は作られた順番を示し、新しいインクラの建設とともに前のインクラは廃止されていったらしい。

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探索2日目。中音水に突入する。

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 落葉がきれいである。

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犬釘も絶好調(?)というわけでハイブリッド橋の地点へ直行し、左岸に渡って第2インクラへと続く道を探す。

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すると斜面に1つの道筋を発見。しかも地図とおなじように進行方向と逆のほうへ山肌を登っている。これは・・・

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しかしすぐに橋梁10が渡っていた沢に到達、そこに築かれていた砂防ダムに突き当たって消えていた。ということは堰堤建設用の作業道か、残念。

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第三インクラまで付近をくまなく探してみたが道は見つからなかった。残る可能性は”更に上流”だ。そして・・・迷走が始まった。

 

            音水の4つのインクライン 05へ続く

 

                 参考文献 ないねん出版「林鉄の軌跡」

 

波賀森林鉄道 音水、中音水の4つのインクライン 03

季節はめぐって11月。3度目の探索が始まった、が、天気予報によると降水確率がちと微妙。濡れた鉄橋とかぬかるんだインクラの急斜面とか雨によって今回の対象は難易度が上がるため中音水への侵入は今日は中止。早朝に到着したした時点ではかろうじて雨が降っていなかったので別のターゲットに切り替える。それは 

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 音水第1インクラインである。中音水林道入口の”いんくら橋”の横に橋台が存在し(2枚目の写真)山肌に少し踏み込むと巨大な坂道が目に飛び込んでくる。(3枚目の写真)

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 インクラインを上から覗きこむと体が吸い込まれるような気がした。ちょうどこの時小雨が降ってきて枯れ葉が程よく濡れていたので1歩踏み出せばとても良く滑りそうだった。

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 上部軌道を15分ほど歩き、レールや桟橋の跡が残っていた地点のすぐ先で路盤は大きく崩落していたためそこで撤収。

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 その後、無事下界に降りると雨脚が強くなったため車で上流に移動して林道と軌道の合流地点を見てみた。

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ちなみに上部軌道の真ん中はガチらしいので行ってません。いつか踏破してみたいものです。それはともかくこれで2つのインクラインをクリア、次はいよいよ未確認の残り2つを探索する。

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        探索後道の駅で食べた笹うどん。うまかった。

 

               音水の4つのインクライン 04に続く

波賀森林鉄道 音水、中音水の4つのインクライン 02

実を言うとこの中音水の探索、当初の目標は橋梁9のハイブリッド橋であった。ネットや書籍で得た事前の情報ではこれこそ最奥のメインディッシュとばかりに紹介されており、実際自分自身で目のあたりにして素直にすごいと思ったのは事実である。しかし音水の最奥はここではなかった。例えるならダンジョンの隠し通路の前に宝箱を置いて冒険者の目をあざむいたような状態とでも言えば良いのだろうか?

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橋梁10を過ぎてしばらく進むと路盤は消えていた。右上の写真は対岸だがそちらにも軌道の続きは見受けらず、小道が上流へ伸びている(左下写真)がすぐ先で斜面を登る山道になっていた。ここが軌道の終点かと未練がましく辺りを見渡した。

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                 あ っ た

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石垣があった! 対岸の斜面に!それは予想外のインクライン!林道入り口のだけじゃなかったのか。(帰ってから「廃道をゆく2」を読み直したらちゃんと複数のインクラが作られていたと明記してあった。迂闊。)浮かれる心を抑えつつその行き先を見てみるがいったいどこまで伸びているのか分からない。しかし進まない手はない。

最初はインクラにしては珍しく凸型の路盤だったが、しばらく上ると凹型に変わった。

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やがて道筋は左に傾き始め最終的には見失ってしまったが、程なく切り立った尾根に到達して左に進むとそこが上部軌道の始まりであった。

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落石やらレールやらを写真に収めながら、時たま崩れたり埋もれたりしている軌道跡を10分ほど歩くと大きな沢に出た。もちろん橋は無く、この先がどこまで続いているかも分からなかったためここで撤収。

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帰宅後詳しく調べてみると林道入口のモノと今回見つけたモノ、それ以外にも2つのインクラがあり合計4つのインクラインがあるらしい。あると分かっているのなら話が早い。4つのインクラインと4つの上部軌道。長い探索が始まった。

 

             音水の4つのインクライン 03に続く

              

                    参考文献 イカロス出版「廃道をゆく2」