ここは岐阜県にある道の駅 桜の郷 荘川。2018年6月の4時30分。朝である。今回のターゲットは御母衣ダム湖の西、尾上郷川沿いに存在していた「尾上郷森林鉄道」。”国有林森林鉄道全データ 中部編”の地図を見ると貯木場はダム湖の下、軌道跡も大半は林道化されているようだ。しかし支線の一つであるコブ谷支線は地図を見る限り林道化されていないようなのでもしかすると廃道化した軌道跡がのこっているかもしれない。そんな期待を胸に行動を開始する。
御母衣ダム湖の西岸に沿って北上し、有名な荘川桜を横目にしばらく進むと道の左に赤いゲートが現れる。これが尾上郷川沿いの林道の入り口なのだが・・そう、ゲートである。車が入れないのでここから歩かなければいけない。コブ谷の出合まで約6キロ。
もしなにも無ければただのさわやかウォーキングになるわけだ。
林道をてくてく歩き始めると御母衣湖と尾上郷川河口に架かる尾神橋が見えてくる。軌道はあの橋の下の水中を通っているはずだが無論見ることはできない。
上流を見ると川幅は広く、まだダム湖の一部という印象が強い。
1,2キロほど歩いたところで橋にさしかかった。地図上の目印として意識していたぐらいだったが・・・
おお、旧橋が残っている。林鉄とは関係ないがよさげな雰囲気だ。
思ったよりも結構高さがある。旧橋の橋脚が細長い、というか薄くてポキッと折れそうだ。
橋の右側を覗きこんでみると深い色をたたえた川面が目に飛び込んでくる。
・・・・・・・・・・・。
隧道!?こんなところに!?
驚いた。まさか隧道があるとは思ってもみなかった。伊勢海老のフルコースを食べにいったら前菜で越前がにが一杯出てきたような、そんな感じだ。しかも道の下に軌道跡が見えないかチェックしながら歩いてきたのにいきなり隧道が現れたように見えたのでなおさらである。その点は自分の目が海のリ〇クなみだったということだが。いや、それよりも・・・
レールが突き出ている!林鉄確定!(3本だから1本は脱線防止用だ)だが、しかし、今日の第一目標はもっと奥にある支線の確認。そして気軽に降りられそうな立地でないため泣く泣く帰路の楽しみにとっておくことにする。むう。後ろ髪を引かれながらも歩みを再開。初っ端からこれは期待できるかもしれない。
尾上郷森林鉄道 第二話 へ続く