人生崖っぷち(物理)

森林鉄道、廃道、廃隧道など

久原鉱業所の木材搬出用軌道 FILE 8

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 前回のラストの場所からすぐに、路盤の状態が悪化していった。結論としてこれ以上軌道跡を進むのは無理だった。

 

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 やむなく谷を下ることにする。こういう場合途中で崖でもあったらアウトだ。

 

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 なんとか無事、下まで降りることが出来た。今まで歩いてきた場所の反動で平地を見るとすごく安心してしまう。

 

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 崖下のすぐそばまで土石置き場になっている。あいだのわずかなスペースを歩いて進むがなかなか再登攀できそうな場所がない。

 

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 結局、出発点と同じくらい大きな谷から軌道跡に戻ることになった。

 

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 谷と本流の出合いを登る。急斜面だが登りやすかった。

 

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 軌道跡にたどり着くとそこには・・・なんだろう。基準点?

 

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 谷の奥を望む。この谷は結構深いのだが、先を急ぐのでカットする。

 

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 谷から小渋川に出る出合いの曲がり角の先で路盤が崩れて石垣の断面が見えている。が、崩落地点は楽に渡ることが出来た。

 

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 改めて軌道跡を歩き始める。この先にはいよいよダムから見た光景がまっているはずだ。

 

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 埋もれたり、崩れたり

 

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 風化しつつある軌道跡をひたすら進む。

 

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 あっという間に河原がはるか下に。

 

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岩を穿った路盤のほうが流石に土の路盤よりしっかり残っている。

 

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む?これは・・・ネットの記事に書かれていた・・・
 

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隧道!・・・ではなく穴だ。川に垂直に掘られているため軌道とは関係ない・・はずだ。 

 正体は不明。結構深いがほんとに何のために掘ったのだろう?

 

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 そしてある意味今回の探索のクライマックス地点その1。土砂が積もった坂を登ると

 

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 枯れ葉が積もっている狭い踏み跡が下り坂になっている。右側の岩壁に掴むところはない。左は言わずもがな。しばし足を止め、撤退も考えたが

 

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 突破。 やばかった。狭い、掴むところがない、まではなんとかなるが、それが下り坂だとシャレにならないくらい怖かった。帰りはあとで考えよう。

 

        久原鉱業所の木材搬出用軌道 FILE 9 へ続く

 

久原鉱業所の木材搬出用軌道 FILE 7

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 ようやく反対側に立つことが出来た。最初に対岸から見た時は越えられるのかと思ったが、結局は普通に道(踏み跡)を歩いただけだ。

 

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よし、先に進もう。

 

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で、 舌の根の乾かぬ内にこれである。(谷を出発して3分後)

 

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 奥に見えるU時の切通しが遠い。

 

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 しかしここにも高巻きの踏み跡が。ありがたやありがたや。

 

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 高巻きして難所を越えた後振り返り。

 

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 切通しを越えて進む。

 

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 と思ったら少し先にやや大きめの谷が見えた。

 

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 谷の向こうに切通し!

 

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 切通しと木橋の連続でこの険しい地形を攻略していたのか。

 

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 斜面を削った切り取り工の路盤が延びている。

 

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 切通しは一息つけると同時にその向こうがどうなっているのかが怖い。

 

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 更に進むと・・・

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路盤が不明瞭になった斜面で前方に何かが見えた。

 

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 コンクリート製の壊れた遺構。これは?

 

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 水槽のように見える。実はこの軌道は犬力軌道(造語)。台車を犬が曳いていたらしいがまさか飲み水用か?分からない。水を引けるような沢も見当たらないが。

 

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 角を曲がってすぐは小さな広場になっていた。

 

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石で出来た小さな基礎。

 

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そしてすぐ先にも2つ目のコンクリートの水槽?が。
 

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 そして初めは岩だと思っていた謎のコンクリート塊。2本の棒を通した穴がある。

 

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遠くまで見渡すことが出来ても木々が影になってよく見えなかったりする。まだ、そういう季節だ。

 

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たまに石垣が現れる。

 

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割と断崖絶壁。よく軌道を造ったものだ。

 

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河原は工事の関係で自由に動けないのが面倒だった。おのれリ〇ア。
 

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 ある谷間に入り込んだ時、前方が細くなっているのが見えた。崩落しているようだ。

 

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近くに寄ってみると 細いがなんとか通れそうだ。危うげなく小走りで通り過ぎ、後ろを振り向いた。

 

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 いい景色が見えた。向こうからはさほどでもない感じだったが、反対側から見ただけで難易度が上がったように見える。不思議だ。ちなみにこの写真は小渋川沿いの探索の中でもお気に入りの1枚である。

 

        久原鉱業所の木材搬出用軌道 FILE 8 へ続く

 

久原鉱業所の木材搬出用軌道 FILE 6

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2度目の探索の1カ月後、2018年10月に3たび小渋川に帰ってきた。ただ、アプローチ地点は前回の続きからではなく、部奈集落からみて東にある最初の大きな谷の地点だ。何百mか飛ばしているがその辺はアバウトなので気にしない。
 

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 やや濁った小渋川を渡河する。

 

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僅かに水が流れる沢をたどって谷間に入る。 

 

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まずは谷の右側を登っていく。幸い作業道?をすぐ見つけることが出来た。
 

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 左下から登って来て、正面に延びる軌道跡に到着。うしろも気になるが前進だ。

 

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 荒れているが一部石垣も残っていたりする。

 

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 谷の奥に向かって進む。時節柄紅葉が所々目を楽しませてくれた。

 

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 が、だんだんと路盤は荒れていき消えてしまった。橋で対岸に渡っていたのか崩れて痕跡が無くなってしまったのかも分からなかった。

 

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 どうしよもないので急斜面を10m程滑り落ちて谷底に降りる。

 

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 で、対岸の軌道跡にと思っていたがなぜか見つからず、しばらく彷徨い歩くことになった。

 

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 そのうちめんどくさくなって見つけた作業道を歩いて東の方へ進むことにした。

 

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 作業道が荒れて道があやふやになったあたりでこれまた荒れた軌道跡と交わることが出来、路盤に復帰することが出来た。

 

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所々崩れているが致命的な場面は出てこないので先を急ぐ。 

 

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すると、どこか見覚えがある場所にでた。ここは・・初探索時に登ってきた場所だ!

 

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下を覗きこむ。・・・・・なんでここを登ろうと思ったんだ自分。
 

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 振り返って。岩盤の切り取り工と足元に一部残る石垣でこの難所を越えている。

 

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木々の間から見える河原も遥か下方だ。

 

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そしてとうとう因縁の撤退地点に到達する。
 

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 そう、ここだ!

 

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 雪の無くなった今、あたりがよく見える訳だが、この谷をそのまま突破するには恐怖心をゼロにして命のチップを7割ぐらい賭ける必要がありそうだ。無理。こわい。

 

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 下は完全に無理なのであとは更なる高巻きをして上をぐるっと迂回するしかないと周囲を観察すると、踏み跡を見つけた。積雪時は分からなかった抜け道だ。

 

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文字通り ”踏み跡” があった。

 

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ここで少しでも足を滑らせて加速が付いたら・・・・・・4枚前の写真から推して知るべし。
 

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玉ヒュンである。

 

 

       久原鉱業所の木材搬出用軌道 FILE 7 へ続く

 

久原鉱業所の木材搬出用軌道 FILE 5

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藪をかき分け灌木をくぐると確かに平場が存在した。
 

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 が、藪漕ぎで精一杯だ。辛うじて見える地面を頼りに前進する。

 

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 ようやく抜けたと思ったら今度は綺麗になりすぎている?それに前方に見えるのは・・

 

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 黄色い看板は知ってる人にはおなじみの電力会社の標識だ。写真は右が今来た道。左が鉄塔への点検路か。

 

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 よしそれでは軌道探索開始だと進み始めると100mも行かないうちに雲行きが怪しくなってきた。

 

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 路盤の傾斜が増し、どんどん歩きずらくなっていく。

 

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 下をのぞきこむと滑ったら少々まずいということがよく分かった。

 

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 そして谷状になっている曲がり角まで行ったが、そこでアウト。それ以上は無理だった。上も下も無理だったので素直に転進。

 

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 先ほどの点検路を通り、大幅に高巻きをする。幸い動物除けネットが続いており、それに沿って進むことが出来た。

 

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 尾根を見つけたのでそこを下る。

 

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 見えた。尾根を回り込むように路盤が通っている。

 

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 到着。えらい遠回りになった。

 

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 とりあえず戻って逆側から転進地点を見る。険しい地形だが路盤が崩れたのか、橋があったのか。

 

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 前進する。埋もれたり崩れたりして路盤の状態は安定しない。

 

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 よく分からないがなんというか砂っぽい土質だ。

 

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 そこまでもろいわけではないが、少し慎重に進む。

 

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おそるおそる

 

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切通しだ。
 

 

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 ここも見た目が風化したようなような感じでぼろぼろ崩れそうだ。

 

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 そして写真の地点でふと左手を見ると

 

                           手のひらが真っ赤

 

一瞬出血したかと思ったが痛みもぶつけた記憶もない。落ち着いて見てみると多分実や花の汁だと思われたが触ったりした記憶もない。それどころか付近にそんな赤い色の草花が見当たらなかった。

 別にどうということでもないがここで引き返した。あえて言うならやる気がそがれたとしか言いようがない。

 

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 集落まで戻って来た。

 

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 集落の中からの写真。この道に多少重なっているような感じで軌道は鉄塔のほうに向かって曲がっており、掘割になっていたそうだが後に埋めてしまい、ご覧のような田んぼになってしまったそうだ。

 

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 そして反対側を向くと、緩やかなカーブを描く小道がある。こちらは軌道跡そのままだという。確かに実にそれっぽい道だ。

 

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 一度小道は車道にのまれるがしばらくすると分かれる。右の道が軌道跡だ。

 

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 少し足を踏み入れたが、この先は果樹園?私有地のようだったので入るのはやめた。

 この先は広場になっており、その先は天竜川を見下ろす崖になっているはずだ。トロッコで運ばれてきた木材はここで索道に積み替えられ、天竜川を越えて上片桐駅付近まで運ばれたそうだ。時間的には微妙なところだったが今回の探索はこれで終了。先ほどの人から聞いた松川資料館に寄って帰宅した。(貴重な当時の写真がありました)

 

        久原鉱業所の木材搬出用軌道 FILE 6 へ続く

 

久原鉱業所の木材搬出用軌道 FILE 4

久原鉱業所の木材搬出用軌道 FILE 0 - 人生崖っぷち(物理)

2年ぶりの続きです。

 

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 最初の訪問から7カ月後の2018年9月、再び小渋川を訪れた。今回の目的はまず軌道の起点を探すことだった。

その前にこの軌道の簡単な説明をすると

 

奥地==(トロッコ軌道)==部奈地区(起点)ーー(索道)ーー上片桐駅飯田線)付近

 

というふうに木材を運んでいた。

このうちの部奈地区にある起点を探してそこから軌道跡をたどるつもりだったが、車で集落内の狭い道を走るのが不安だったため、対岸から橋を渡って部奈地区、あわよくば直接軌道跡へ行けるかと目論んでいた。が、入口にチェーンが。通行止め?

 

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 橋が無い。なんだこりゃと思ったが事実は変わらない。そして水面からの高さにも驚いた。低い。流されたのか、それとも外したのか?地理院の地図には載っているのに。

 

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 水深はそんなにないはずだが、この濁った水を渡るのは流石に躊躇した。一旦計画の練り直しだ。

 

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気分転換を兼ねて小渋ダムまでくると派手に放水中。そりゃ水が濁ってるわけだ。

 

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2月と比べると全然違う風景を見ながら小渋ダムで思案中。

 

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雪によって描かれた驚愕の光景も今は緑で塗りつぶされている。

 

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結局、車で部奈地区に入ることにした。写真の2車線の道を左折する。

 

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 細い道に入り込んだりしたらやだなぁと思いながら集落内へと入っていく。

 

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 なんとか車を駐車して集落の端のほうまで来た。写真のアスファルトの坂を下っていくと先ほどの消えた橋へと通じている。だが気になったのは正面の未舗装の道だ。

 

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ネットと崖に挟まれたスペースを辿っていく。
 

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 急な下り坂となって川へと降りていく。

 

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 川が見えてきたあたりで道の横に石碑が立っているのが見えた。墓じゃないよな。

 

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 馬頭観世音の碑だ。ということはこの道は由緒正しい古道らしい。

 

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 しかし肝心の軌道跡はまったく見当たらない。最初は崖沿いに軌道が通っていたと推測していたがどうやら違ったようだ。ならば集落の中を走っていたのだろう。

 

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 集落の端に沿ってぐるっと移動する。

 

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 部奈地区内を覗きこみながら軌道跡を探してみるがそれらしきものは見当たらない。。

 

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 道がある!が、なんか違うような・・・

 

 

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 場所的に軌道はこのあたりを通っていたと思われるのだが痕跡らしきものはなにもない。

 

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 困ってうろうろしていると集落の方に声をかけられた。妖しいものじゃありませんと理由を説明すると、なんと軌道のことを知っておられた。聞いてみると詳細は後ほど述べるが整地されて軌道跡は消えてしまったようだ。なるほど、この辺を眺めていても分からない筈だ。

 

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 それで軌道は?と聞いてみた。軌道が続いているはずの東側は写真のように木と藪が生い茂っているので皆目見当がつかない。

 

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 「そこだよ」・・・・・・・・・・・・・分からんわそりゃ

 

            久原鉱業所の木材搬出用軌道 FILE 5 へ続く

 

紀伊半島の森林鉄道・林用軌道群④ 亀谷森林鉄道 5

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謎の金具は気になったが、それ以上に気になったのが前方だ。路盤の痕跡が見えない。

 

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少し進んでみたがどう見ても路盤はない。百歩譲って木製桟道の作業軌道・・・もなさそうだ。 

 

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 どうやら路盤は金具を見つけた地点(写真)が終点だったようだ。戻った後、念のため上方も見てみたがインクラインらしきものもなかった。が、先ほど見つけたあの金具からワイヤーが川の方へ延びていた・・・

 

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 川向うに延びるワイヤーの網目。吊り橋か!・・・吊り橋?

 吊り橋だと軌道は渡っていないのか?吊り橋の林鉄橋もあるがこの細いワイヤーを見るとトロッコが渡っていたとは思えないのだが?

 

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 とりあえず対岸に渡るために河原に降りる。

 

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 谷を跨ぐワイヤー群。選択肢としては

①トロッコが渡れる軌道用の吊り橋

➁人道橋の吊り橋

③実は木橋があったがあとかたもない。吊り橋はその後架けられた。

 

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 下にレールが1本落ちていた。

 

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 対岸にそそり立つ2本のレールにからむようにワイヤーが延びていた。

 

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 橋の対岸に当たる位置はこんな風に浅い掘割になっていた。

 

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 ボロボロになった木の支柱の残骸が残っているが原形を留めていない。そして中にそそり立つ柱からここを軌道が通っていなかったということが分かる。やはり➁の人道橋が正解か。

 

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 そしてちょっとした広場が広がっている。

 

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 遺留物から宿舎か作業小屋があったのではと思われる。土場も兼用か?

 

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 ちなみにこの場所は本流と沢が交わる角の部分になるが、ここへは唯一吊り橋だけが通じている。

 

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 レールはあったが本来の用途ではなく何かの部品や建材に使われた感じだ。ここを拠点として伐採、軌道まで木馬道や架線(ワイヤーによる吊り下げ輸送)などで運ぶ、と妄想ははかどるが、手元に全く資料がないので想像の域を出ない。資料か証言が欲しい。

 

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そして撤収時にしばらく河原を歩いたのだが、レールを何本も見かけることになった。軌道は吊り橋の地点まで出来ていたと見て間違いないだろう。ただ、未確認だが中津川に入るもっと手前で工事が中断されたという話もある。やはり資料か証言が欲しい。

 

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 あとは帰るだけ、といいながら行きとは違った光景をパシャリ。

 

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 警告の看板は流用品だった。

 

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 1時間強で遊歩道入口まで戻って来た。1本道で距離もそこまで長くはないが、ここに来るまでが大変な物件でした。

 

      紀伊半島の森林鉄道・林用軌道群④ 亀谷森林鉄道 完