道は川岸の斜面と杉の植林帯に挟まれて始まっていた。
入口に表示されていた労務対策道だが、労務とは一般的には企業における労働に付随する関連業務全般、即ち事務処理や管理業務を指すとされており、そのための道・・・書いててなんだがよく分からなくなってきた。事務処理の道?、いやなんだそれは(笑)。それでは訳が分からなくなるので、何かの管理のための道で良いのだろうか?
最初は普通の土の道だったが写真のように岩を削った土工も目立ち始める。
岩壁を穿ってしっかりと造られた道だ。
沢を跨ぐように鉄板が渡してある。人が通るにはこれで充分ということか。
雰囲気的には車道以前の川沿いの古道という感じもするのだが
また鉄板橋だ。今度はちょっと長い。
こちらは石垣の橋台がある。
ライトで照らしているのが分かるだろうか?写真の時刻を確認したら朝の5時台だった。すっかり忘れていたが、人目か作業を気にしたのかむっちゃ早い時間帯だった。
崩落でもあったのかコンクリートで法面が造られている。
穏やかな川面が広がっている。
つくりは華奢だが柵が現れた。
裏を返せばそれだけ危ないということだが
落石でひしゃげた旧鉄板の上の新鉄板も半ば埋もれている。
ここだけトラロープが張ってあった。やや難所だ。
足元は川まで一直線の崖っぷちだ。
振り返って
こうして見ると林鉄の軌道跡に見えてくる。
対岸が近く見えても果てしなく遠い。
岩盤の切り取り工の見事な廊下が続く。
岩によってその表情を変えるため見てて飽きない。
たしかこのあたりからだったと思う。ふと長靴を見ると招かれざる客人が1匹。ヤマビルだ。持っていた塩水入りの霧吹きを吹きかけながら、やだなあと思っていると数メートル歩くたびに一匹、また一匹と長靴によじ登ってくる。ヤマビルに血を吸われた経験はあったが、これだけ大量にたかられたことは記憶になかった。
これ以降、長靴を覗きこみながら小走りで進むことになる。塩分が足りなかったのか長靴に吹き付けてもよじ登ってくるのだ。この時、少なからず平静さを失っていた。
そんな状態で鉄板橋ばかり撮っているのは単に目立つ目印として機械的に写真を撮っていたからだ。
その時手すりが付いた大きめの橋が現れた。
ヤマビルが居ない綺麗な鉄板の上でようやく一息つくことができた。後に遠山林鉄の奥地でも同じくらいの襲撃を受けたが、その時は今回を元に装備をバージョンアップさせていたため冷静に対応できた。そういった訳で軽くトラウマになったこの道は2度と歩きたくないと1話で言ったのだ。だがここまで来て今更引き返せない。早足で前進を再開した。
上北山村の対岸歩道 3へ続く