下に向かってどんどん降りていったが、石段が無くなると多分こちらが道だろう、というレベルになった。踏み跡と草むらと岩場を踏み越えていく。
視界が開けて川面がだんだん近づいてきた。正面を見ると垂直の岩壁がそそり立つ。
ここか! 草のせいで分かりづらかったが岩壁と河原の間に段がある。
ここが宣旨返りと呼ばれた古道。もっと高所の岩壁に刻まれた道という先入観があったが、イメージとちょっと違った。
しかし道は唐突に終わりを告げた。高さはさほどでもないので河原に降りる。
石垣の残骸と変色した岩壁が残っているが、本来なら黄色のラインのように道があったのだろう。これが水害のときの増水で破壊された場所か。
残った道の部分に登れるように鉄板が設置されている。一応再整備がされているのか?
振り返って見ると岩壁が微妙にオーバーハングしている。
もう一度河原に降りて2つ目の鉄板を登ると
大岩がごろごろ転がっていて道が完全に消えていた。
すると、右上方に唐突に立派な橋が現れた。
巨大な谷間を流れるなめ滝に驚きながら一息入れる。
谷の向こうに道が復活しているがこの谷の部分はどうなっていたのだろう?橋とか架かっていたのか?
道によじ登るとそこは古道の雰囲気を色濃く残していた。
岩壁に沿ってカーブを曲がると
小さな切通しが。
その先は凄まじい藪で道がどうなっているかも分からなかった。たまらず下に降りて迂回する。
多分岩壁の下あたりを通っているのだろうが、草と岩で分からない。
古道の位置が分からないのはともかく、車道へ戻る道もある筈だがまだ先なのか。
悪い足場をえっちらおっちらと前進する。
すると石畳らしきものを発見。古道のようだ。
草がぼうぼうで分かりにくいが、前方で坂になっている。
坂を登ると上の方に車道のガードレールが見えてきた。ここで正解のようだ。
宣旨帰りを通り抜けた。
振り返ると草しか見えない坂道が見える。これは冬のほうが分かりやすそうだ。
バリケードが無ければ意識しにくいこちら側の出入り口。
看板もご覧のとおり。向こう側は閉鎖してなかったし何か中途半端に放置されてるような感じだ。
車道の横は断崖絶壁。こりゃ高巻きは無理だ。
先ほど見えた橋まで戻って来た。名前は小鹿橋。あとで知ったがこの先代の橋も平成23年の水害で流されている。この高さの橋が流されたのか・・・
よく考えたらこの谷と断崖絶壁のせいで増水したら通れなくなる下ルートを強制されたのか。まあ、中世に道を通そうとしたら一番合理的なルートには違いない。
宣旨帰り 完