目の前にそびえる大小様々な階段状の滝を見て、これ以上の前進は無理と判断した。ここで当初の予定通りに斜面の登攀を開始。
黙々とひたすら登る。が、軌道跡が見当たらない。
さすがにこの上は無いだろという、か細い流れの岸壁を見上げるが、ここより下もそれらしき平場は見当たらない。
たまに平場っぽい場所があるがピンポイントで存在し、その前後に延びていないので天然の地形に見える。
ない
ない
見つからない!思わずこんな写真を撮って現実逃避したくなるほど軌道跡が見当たらなかった。まさかもっと上なのか、それとも跡さえも残っていないのか・・・焦りと苛立ちと疲れに蝕まれながらも斜面を前進する。
かなり高い位置まで登っていたが、本流も幾多の滝によってグイグイと高度を稼いできた。そして川岸を離れて2時間強。
「林鉄の軌跡」の地図が正確ならばこのあたりが軌道の最奥部のはずだが・・・
やはり軌道跡は見当たらない。もうなんだかめんどくさくなってしまい、これからどうしようかと考え込む。その時ふと思いついたのが
「このまま平行に進んで山を越えれば第3インクラの奥へ出るんじゃないか?」であった。
波賀森林鉄道 中音水の4つのインクライン 07へ続く