実を言うとこの中音水の探索、当初の目標は橋梁9のハイブリッド橋であった。ネットや書籍で得た事前の情報ではこれこそ最奥のメインディッシュとばかりに紹介されており、実際自分自身で目のあたりにして素直にすごいと思ったのは事実である。しかし音水の最奥はここではなかった。例えるならダンジョンの隠し通路の前に宝箱を置いて冒険者の目をあざむいたような状態とでも言えば良いのだろうか?
橋梁10を過ぎてしばらく進むと路盤は消えていた。右上の写真は対岸だがそちらにも軌道の続きは見受けらず、小道が上流へ伸びている(左下写真)がすぐ先で斜面を登る山道になっていた。ここが軌道の終点かと未練がましく辺りを見渡した。
あ っ た
石垣があった! 対岸の斜面に!それは予想外のインクライン!林道入り口のだけじゃなかったのか。(帰ってから「廃道をゆく2」を読み直したらちゃんと複数のインクラが作られていたと明記してあった。迂闊。)浮かれる心を抑えつつその行き先を見てみるがいったいどこまで伸びているのか分からない。しかし進まない手はない。
最初はインクラにしては珍しく凸型の路盤だったが、しばらく上ると凹型に変わった。
やがて道筋は左に傾き始め最終的には見失ってしまったが、程なく切り立った尾根に到達して左に進むとそこが上部軌道の始まりであった。
落石やらレールやらを写真に収めながら、時たま崩れたり埋もれたりしている軌道跡を10分ほど歩くと大きな沢に出た。もちろん橋は無く、この先がどこまで続いているかも分からなかったためここで撤収。
帰宅後詳しく調べてみると林道入口のモノと今回見つけたモノ、それ以外にも2つのインクラがあり合計4つのインクラインがあるらしい。あると分かっているのなら話が早い。4つのインクラインと4つの上部軌道。長い探索が始まった。
音水の4つのインクライン 03に続く
参考文献 イカロス出版「廃道をゆく2」