人生崖っぷち(物理)

森林鉄道、廃道、廃隧道など

あけましておめでとうございます。そして近日公開予定。

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道巾広からぬも、古くより原の谷方面の要路にして又村の幹道たり。道は東して原田村、西の谷に道ず。明治廿年頃墜道を穿ち、榛原郡金谷へ開通すべく、鈴木才吉氏多くの土工と「トンネル」開鑿に着手せるも中止す。原の谷行路はトノ谷沢を越え大高山山脈の中腹を越ゆる難路なり。

 

                     森町変遷雑記より

小ネタ 島田軌道と天竜の木橋

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ここは静岡県島田市。ここに明治から昭和まで日本で最も長期間、そして一番最後まで営業していた人力の軌道が島田軌道である。サイト”歩鉄の達人”様の記事を見て一回行ってみたいと思っていたのが唯一の遺構であるこの橋台。写真は島田駅方向で立派な堰堤も残っているし、民家の間は路地として活用されている。

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これは北向き。正面に見える平屋の建物で路盤は途切れているが、その奥に見えるオレンジ色の建物は静岡県指定近代化遺産である北河製品所のレンガ物件。現役の工場敷地内なので興味のある方は外から見るべし。

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こちらは浜松市天竜区、山奥の渓谷沿いの道の脇にある木橋。サイト”うさ★ネコサンド”様の記事を見て行かねばと思った物件である。写真に写っているように今年の4月で通行禁止までいってないが、1歩踏み出したらバキッと音がしたので廃認定か補修をしたほうが良いと思う。

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I can flyして谷底より。嘘です。脇から降りました。

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林鉄の木橋なら鼻血を出す自信があるが、これはこれで悪くない。

 

          小ネタ 島田軌道と天竜木橋 (完)

紀伊半島の森林鉄道・林用軌道群① 妹尾森林鉄道 3(完)

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軌道跡が土砂に呑まれた場所から車道に上がってみる。ちなみに土砂、というか河原へ降りるランプの先に軌道跡は確認出来なかった。

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しかし、しばらく進んだ先ぐらいで(気づいたのは帰り道で正確な場所を覚えていない)道路の上に石垣が。最初は砂防用のものかと思ったが、念のために登ってみた。

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どう見ても軌道跡っぽい。しかし河原から車道の上のここまでかなりの高低差があるがどこで登っていたのかが分からない。謎である。

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これは対岸へ渡るための道で、今来た道と軌道は上流までずっと左岸を通っている。(と思う。)そして家が散見するこの辺りが妹尾という集落である。

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集落を越えて更に進む。すると、

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またもや石垣が。しかし現道に削られているためさほど残っていない。

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大きな切り通しが現れた。

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これだけの大きさとなると・・・

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やっぱり平場がある。だが単なる旧道か、軌道跡かは分からない。しかし、この先で

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この狭さと釘がうたれた木の残骸。これは軌道の木橋跡か!?多分間違いないだろう。

今までにも桟橋と思われる場所はあったが、木材が残っていたのはここだけだ。

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そしてそれ以降は遺構を見つけることはなかった。やはり車道に転用された部分が多いとその痕跡を見つけるのは難しい。詳しい資料もなしに行き当たりばったりの現地調査だとこんなものだが、ネットにも書籍にも載っていない物件(ご馳走)を自分の足と目で読み解いていく楽しさというのはまた格別である。マイナー万歳。

 

       紀伊半島の森林鉄道・林用軌道群① 妹尾森林鉄道(完)

紀伊半島の森林鉄道・林用軌道群① 妹尾森林鉄道 2

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河原の砂利の中から石垣の小道が姿を現していた。軌道跡だ。

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曲がり角を岩の切り通しで抜けていく。

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その先に路盤はない。桟道を通していたのだろう。

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その先の植林地帯には石垣が残っていた。

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 川沿いに軌道跡は続く。ここの乱積みの石垣が何故か印象に残っている。

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 しばらく進むと川が小さな滝になって広場のような河原に流れ込んでいた。路盤はこの広場の手前で消失してしまったが、よく見ると滝の左上に続きが見えたので斜面をよじ登る。

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いきなり視界が広がった。巨大な堰堤とコンクリートの法面、そして右上には分岐で分かれた道路が合流した。

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これは帰りに道路上から撮ったもの。矢印のところで軌道跡が途切れていた。

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高巻きして河原に出ると堰堤の上流の対岸に石垣を発見した。橋で川を渡っていたようだ。

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程なくして軌道跡は上の道路から河原に降りる道に呑まれて消失した。しょうがないので、ここからは道路を使って上流部を目指すことにする。

 

          紀伊半島の森林鉄道・林用軌道群① 妹尾森林鉄道 3へ続く

 

 

紀伊半島の森林鉄道・林用軌道群① 妹尾森林鉄道 1

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ただ今17年2月、ここは和歌山県日高川町の猪谷橋。橋の右側にある日高川に左手から猪谷川が合流しており、この猪谷川沿いに妹尾林道ー妹尾森林鉄道があったらしい。ちなみに資料は「日本鉄道旅行地図帳」の5万分の1白地図に描かれた大まかな軌道と妹尾森林鉄道の名前のみ。

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猪谷橋上から上流をみたところ。椿山ダムのせいで水面が上がっている。

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左岸に沿ってこのような軽トラサイズの道が延びていたがこれが軌道跡か?

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しばらく進むと川と同じ名の猪谷という集落に入る。この辺の軌道跡は不明だ。川沿いだとは思うのだが。

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なかなかいい感じの橋があったりしたが、軌道とは関係ないと思われる。それはともかく地理院の地図には集落を抜けたところでこの道と分岐して川沿いを進む破線道が描かれており、しかも上流で橋を渡って道は消えている。あやしい。

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 分岐地点でこのような橋を渡っているが林鉄時代より後のものだと思う。狭い。

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林道っぽい道が川沿いに続いている。

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そして地図に描かれた最奥部の橋にたどり着いたのだが・・・むむむ!?

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橋は右にそびえる巨岩をかすめるようにして川を渡っていた。自分的には結構インパクトがあった。

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更に橋自体が意外と新しいことに驚いた。なぜなら、

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 渡った先がこれである。いきなり軌道跡(?)になってしまった。しかも、

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路盤さえも年代物の砂防堰堤の手前で消えてしまっている。

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多分架け替えたと思われるあの立派な橋が意味不明である。考えられる可能性としてはこの味がありすぎる砂防堰堤のメンテナンス用か?というかようやく軌道跡があったと思ったのに一瞬で消えてしまった。本当にここが軌道跡だとすると桟道だったのか?高巻きして堰堤を乗り越える。

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予想通りの展開だ。1面埋まってる。前進だ。

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・・・ふむ?

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・・・( ̄▽ ̄*)ニヤッ.

              妹尾森林鉄道 2 へ続く

紀伊半島の森林鉄道・林用軌道群

林鉄業界で紀伊半島といえば高野山森林鉄道や大杉谷森林鉄道などが有名だが、その他にも大小様々な軌道が存在していた。(ググってみたら3番目にうちの十津川村の記事が出てきた(笑)その中でもわずかでも遺構が残り、尚且つあまり紹介されていない軌道にスポットを当てていきたい。

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まずは和歌山の妹尾森林鉄道。

 

             妹尾森林鉄道 01へ続く

Commuter line act 3(小坂森林鉄道濁河索道通勤路)


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時は流れて17年10月、再攻略の時は来た。ちなみに写真からも分かるようにこの道以外の降下ルートは全くない。急斜面でなくて、崖である。ならば前回降りれそうで降りれなかった最後の難関を突破するしかない。いざ!

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・・・無理でした(笑)。足場になりそうなところはあるが手でつかむ場所がない。岩壁側の突起をつかんだらぐらついて抜けそうになったし、ロープやレールは空中に飛び出しているので使えない。ロープ持ってったけど結ぶ場所がない。こうなればプラン”i”だ。

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ここは数百mほど上流側にある、名勝「根尾の滝」へと向かう遊歩道で、林道から谷底へ降りて更に上流にある滝へと続いている。今回はこれで下に降り、川を下って下から道の続きへとアプローチする、プラン”i(急がば回れ)”である。兵衛谷支線と濁河上部軌道探索でお世話になったが、このれっきとした遊歩道でさえ谷に降りることがいかに困難かを写真の看板は物語っている。

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遊歩道の橋の根元から河原に降り下流方向へ歩き始める。ちなみにウェーダーを着用している。

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そして残っているか分からなかったが予測していた存在が目に飛び込んできた。

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吊り橋だ!ほとんどワイヤーのみの姿だが残っていた。

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そして橋台上に立ったわけだが肝心の”道”がない。がけを削ったり桟道を作ったりした上のほうと違って、普通の斜面の歩道は風化して消えてしまっていた。なんとか道の痕跡が分からないかとあたりを見まわしながら撤退地点を目指して登っていく。

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少し登ると柱状節理(でいいんだろうか?)の岩壁が。見る分にはいいが道を作ろうとしたら迂回するしか手が無い。

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2,30分さまよったあとようやくたどり着く。

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えらく遠回りになったがたどり着いた。手練れの人は昇り降りしているような感じだったが、私は素人なので安全第一です。さて、対岸の攻略だ。が・・・

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対岸も道をロスト!索道方向に向けて川沿いに進んで探してみたが、発見することが出来なかった。以前上部軌道を歩いた際にもそれらしき降りる道を見た記憶がないので、上からのアプローチも難しい。しまらない結果となってしまったが次回があればまたチャレンジしてみたい。

 

 

             Commuter line (通勤路)とりあえず完