ここは前回車を停めていた地点から更に林道を奥に行った場所にある高丸山への登山口。地図を見るとここから尾根を挟んだ反対側の谷が軌道の終点のようだ。
軌道とは関係ないが、山道を歩きながらふと横を見ると窪んだラインが見えた。旧道に違いない 、というかかなり窪んでいる道ということは古道なのだろうかとぼんやりと考えながらひたすら足を動かす。
尾根に到着。
どうやらここは三つ尾の峠と言うらしい。 軌道が載っていた古地図を見ると、まだ車道が造られる以前の山越えのルートの一つらしく点線の歩道が描かれていた。
峠から下方を望む。ここから見る限りでは問題なく降りれそうだ。だがこの下に軌道跡とその終点は残っているのだろうか。
炭焼き窯の跡。
10分ほど下るとわずかな陶器の破片が散らばる平場を発見。路盤ではないが当時の遺構か?
辺りを注意深く観察するがそれらしいものは・・・いや、平場の下側に枯れ沢を挟んで石垣のラインが延びている。間違いない!軌道跡だ。
土砂が堆積し、ところどころ小さな枯れ沢や崩落に分断された路盤をたどって終点を目指す。石垣のおかげでかろうじて軌道跡と判断できるがよく残っていたものだ。
そして200mも行かないうちに写真の石垣を最後に軌道跡は途絶えてしまった。先の方を見ると苔むした大岩がごろごろ転がっており、何というか雰囲気が違う。
林用軌道の最終地点なんてはっきりしていないだろうと思っていたが、注意深く見ると軌道跡(黄線)の最後のあたりから斜め上の方向に道の跡(赤線)が確認できた。軌道跡よりもささやかな石垣(オレンジ色の矢印)で補強され、軌道ではありえない角度から作業道か木馬道が接続されていたと思われる。つまりここが軌道の最後で間違いないようだった。
軌道の最後をはっきり確認できたので、今度は起点方向へ進んでみる。先ほど軌道を見つけた地点まで戻ってきたがこの辺りもかなり路盤が崩れてしまっている。(上の黄線が最初に見つけた平場)
そして軌道のラインを水平にたどっていくと・・・路盤が見当たらない。
軌道跡らしき線形も残骸も確認できず、 かなりの急斜面でそれ以上進むことが出来なかった。まさか隧道で斜めにぶち抜いていたとも思えないので木製の桟道でもあったのではないだろうか。
とりあえず頭と最後を攻略するという邪道な探索方法だが一区切りついた、とこの時は思っていた。が、帰り道に上勝町の物産販売所で昔の様子を聞いてまとめた本を偶然見つけ、しかも八重地の軌道の写真が1枚だけだが掲載されていた。そして新たな疑問が浮かび上がった。鉄道旅行地図帳及び古地図だと軌道は起点から終点まで1本道で描かれているが写真にはYの字になった軌道のポイントが写ってるではないか。
現時点では一旦区切りとするがこの謎は解かなければならない。
八重地土工森林組合林用軌道 完 (仮)