人生崖っぷち(物理)

森林鉄道、廃道、廃隧道など

稲又森林鉄道8

前回までの攻略で、軌道跡をそのままたどることが不可能と判断し、ならば川沿いに進んで奥地を目指すことにした。

 

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横手に超デンジャラスなトイレ(?)を見ながら前進する。すると

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巨大な砂防堰堤(監視カメラ付き)がゆく手を阻む。それよりも地味に驚いたのが小学生がプレートの題字を書いていたことだ。私はあまり見たことがないんだが。それはともかくこれで道は断たれたかというと道の横にこんなものが。

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上流に向かって左の山腹に神社があり、その参道が山の上へ伸びている。みるみるうちに高度をあげて50mの堰堤をも眼下の景色としてしまい、そして神社の脇をぬけ

堰堤の上流へと降りていく。

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下からは見上げるような堰堤だったが上流は土砂で埋まっていた。すさまじい量である。ともかく難関は突破したので今度は軌道跡へと登らなければならない。軌道のある斜面を眺めてみると前回の到達点の先で巨大な地滑りが起こっている。出来れば続きからと行きたいところだが突破が難しそうだったので更に先の地点の尾根から登攀を開始する。

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そしてようやく軌道跡に到達する。後ろも気になるがまずは前進。

 

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このまま何もなければよいのだが・・・おや?

 

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                稲又森林鉄道9へ続く

 

 

 

 

 

閑話その1 日本3大美堰堤

 

本編の終わりが見えないのでここらで一休み。皆さんは日本3大美堰堤というのをご存知だろうか?ひとつは大分県の白水堰堤。昔、焼酎のCMで有名になったことがある。

 

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左右非対称の優美な姿をもつ堰堤である。

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もう一つは愛知県の長篠堰堤余水吐。ここは堰堤自体ではなく、川沿いの水路から流れ落ちる水流と自然の岩盤の組み合わせが荒々しい美しさを生み出している。

 

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最後は秋田の藤倉ダム。ここは横が林鉄跡だったり、ダムの上に架かる貴重なトラス橋などいろいろと見どころがあります。が・・・

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          なんで水が流れてないのかなあ!

まあある意味貴重な写真ではあるけれど・・・解せぬ。流木がゴロゴロしていたので大雨後の点検か整備か。理由は不明である。

 

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以上、3大美堰堤でした。

 

 

稲又森林鉄道7

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沢自体は水量も少なく簡単に渡ることが出来たが、軌道跡は対岸の崖の上にあり急斜面を(自分的には)苦労してよじ登るはめになった。ちなみに橋の痕跡は無く、後年架けられたと思われる吊り橋のワイヤーのみが残っており、その部品に犬釘のついた枕木が使われていた。

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苦労して軌道跡に復帰し歩き始めるが、さほど進まないうちに大崩落に遭遇。ここで撤退することにしました。そして・・・

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秋になりリベンジに挑みます。

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大崩落を高巻きして更に前進すると目の前に人工物が

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対岸とつないでいたゴンドラのようです。直下にある砂防堰堤の工事時のものか?(超乗りたかったです)紅葉に彩られた断崖絶壁を軌道は進んでいきます。

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そして、自分の廃道人生の中で”最恐”のひとつが現れる・・・

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かろうじて横歩きで前進出来そうな道幅。しかも山側が微妙にオーバーハングになっている。そして前方はどうやら滝で完全にアウト。だが、見事な片洞門と桟橋の1部が見受けられる。迷ったあげく荷物を置いてカニ歩きで前進。

 

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実に見事な天空の軌道跡である。自分が身一つでヒイコラ言ってるのに、ここを材木を載せたトロッコが通っていたとは正直信じがたいものがあった。それはともかくこれ以上の前進は完全に無理である。別ルートを探すことにした。

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そして帰り道。泣きそうになった。(自業自得である)

                    稲又森林鉄道8へ続く

稲又森林鉄道6

ようやくたどり着いた上部軌道は下界から隔絶した別天地のように思えました。しかし意気揚々と歩き出そうとすると・・・

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いきなり広範囲にわたって路盤が消失。吊り橋の残骸が残る沢を越えてやっと軌道跡が復活します。

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とても穏やかな直線を進み、

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風通しのよい場所をぬけ、

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落ちたら下界へ1直線という崩落を越え,(左の写真に小さく写っているロープはトラップである。その上を高巻きした)

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そして大きな沢が目の前に現れた。         

                    稲又森林鉄道 7 に続く

 

 

 

 

稲又森林鉄道 5

前回インクラインの手前まで紹介したが、その前に稲又橋付近の軌道について少し言及したい。時系列的にはこれより後の探索になるが、早い話が軌道は現道より上方を緩やかな斜度を保ちつつインクラインの手前まで降りていっていた。ほとんど崩落したり現道に削られているが、わずかながらレールや切り通しが残っている。

 

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それでは本題であるインクラインのことに移ろう。前回の軌道跡から少し進むとそれは簡単に発見できた。

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碌な写真で無くて申し訳ないが、これがインクラインの基部である。ここから延長252mを駆け上がり上部軌道に接続している。そしてこのインクラインの特徴として写真の木のあたりを小さな沢が流れており、木橋でそれを越えていたのである。残念ながら現存せず木材が散乱するのみだが。

下の写真はそれぞれ下側と上側の橋台部分である。

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上の橋台から

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そしてインクラインが姿を見せる。が、登り始めは植林のせいもあって不明瞭だ。

しかし高度を稼いでいくと・・・

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レールこそ残っていないが往年の雰囲気が十分に伝わってきた。

                        

                    稲又森林鉄道 6 に続く

 

稲又森林鉄道 4

 

図らずも支線から攻略することになってしまったが、当初は支線の存在すら知らなかったのでこれはこれで良しとする。まだ本線との分岐地点から切り通しまでが未攻略だが、支線はひとまずおいといて本線を攻略することにした。ネットの数少ない情報によると本線は道路に沿って稲又沢の左岸を進んでいたらしく(最初の探索前はそこまで調べていなかった)稲又橋を渡らずに前進する。

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ちなみに左を見ると割と有名になった旧稲又橋が見えるが、川沿いの道はこの橋の付け根から下り坂になっており軌道が通っていたにしては少し違和感を感じた。

 

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しばらく進むと砂利道になるが情報では確かこの辺に・・・

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あった!削られ崩れつつも軌道跡がしっかり残っている。そして、

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埋もれてはいるが貴重な敷設されたままのレールと石垣を発見!どうやら軌道は今の道よりも山沿いを通っていたようだ。

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そして稲又森林鉄道の目玉の一つであるインクラインがその姿を現す。

                       稲又森林鉄道 5 に続く

稲又森林鉄道 3

そしてここからが地獄の始まりだった。自業自得とも言うが・・・。

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軌道跡は岩を穿ち崖を削りながら徐々に高度を上げていく。何か所か崩落を越えながらひたすら進んでいくが・・・

 

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すでに河原から数十メートルの高さにまで上昇していたが、昔は木橋か桟橋で超えていたと思われる断崖に遭遇。はいアウト。

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しょうがないので下に降りれそうな斜面まで戻り河原へ。

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 河原を進み、索道のワイヤー(?)が延びている地点で再び軌道跡へ。

 

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 再び前進。しばらく進むとまたもや崖。少し戻って河原へ降りる。川に突き出た尾根状の場所から再度登攀。

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前進するが今度は崩落。 

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この辺で私の心が折れた。真夏のお盆近くの猛暑日に河原から軌道跡までウン十メートルを昇り降りしていりゃあ当然の結果である。後日、地形図から目安をつけて稲又集落の先にある稲又トンネルの脇から降りてみると、軌道跡の続きを確認することができた。だがその先の尾根の部分を最後に軌道の痕跡を見つけることが出来なかった。 ~稲又森林鉄道 完 ~  ではなく結局この軌道跡は支線のものであった。次回はようやく本線に戻り様々な遺構に遭遇することになる。

                稲又森林鉄道 4 に続く