非常事態宣言が解けた10月。されどここぞという目標もなかったため、手つかずだった身近な物件を探索し始めた。その一つが岐阜県高山市朝日町青屋の九蔵川と九蔵本谷に沿って走っていた青屋森林鉄道。「国有森林鉄道全データ中部編」によると総延長5765mで路線図を見る限りはほぼ林道化しているようだ。ただの林道ウォーキングに終わるかもしれなかったが、なまった体にガチな物件は厳しかったのでちょうど手頃だと思った。
写真は朝日町青屋の九蔵地区。空き地や平場を見てはここが起点の土場かと疑いつつ奥を目指していた。
久藏地区の奥で平らだった道は坂道へと変わる。左に畑を見つつ徐々に高度を上げていく。
坂を登り切ったところで広場に出る。ちょうどいい駐車スペースというかここが土場ではないかと思った。が、土場と見るには少し狭いような気がした。それとなにやら看板が立っている。
知らなかったのだがここも乗鞍岳への登山口らしい。もしかして登山届がいるのかと思ったが、掲示された地図によると探索地点は届け出の範囲外のようだ。
九蔵地区を望む。正直、下に広がる畑と結構な高度差があり、もしかして軌道跡は下の方にあるのではないか?とも思ったが分からない。
軌道がどこを通っていたかはひとまずおいておいて、準備を整えて歩き始めた。
すぐに切通しが現れた。向こうにあるのは・・
林鉄跡あるあるの廃レールを使ったガードレールだ。
軌道が存在した確実な証拠だ。
沢をひとつ越えると緩やかな軌道跡らしい林道になった。先ほどの切通しのあたりは急こう配だったが、やはり林道が軌道跡そのものなのか。
林鉄跡あるあるその2。廃レールを使ったグレーチング(側溝などの格子状の蓋)だ。
大きな切通しだ。軌道時代もこれだけの深さがあったのかは分からない。ちなみに左側は断崖絶壁で迂回ルートは100%ない。
切通しの少し手前から見てこんな感じ。
2つめの沢を越えるとまたもやガード”レール”が。
ゲートだ。徒歩で通る分には問題ない。左に看板があるのだが・・・
飛騨森林管理署に隠された久々野高山営林署。青屋林鉄はここの管轄であった。
落石の現場。重機が必要そうなレベルだが再訪した時にはきれいに除去されていた。
大きな砂防ダムを過ぎると底が見えぬ谷だったのが河原が見えるようになった。
道が分岐している。右に行くと小俣谷に、左へ行くと橋を渡り九蔵本谷に沿って進む。
橋は一般車両進入禁止の看板とともにチェーンで封鎖されている。
名は小俣谷橋。この橋の少し前で青屋川は九蔵本谷と小俣谷に分かれているので、ここは既に小俣谷なのだ。
渡り切って振り返り。川から2、30mぐらいの高さがある(適当)。軌道もここで渡っていたのか?
下を覗き込んでみると、橋台の前にある板は軌道の橋脚かと思ったが橋台の一部にも見える。ネットで前調べした時に橋脚が残ってると書かれていたがここではないようだ。
橋を渡ってすぐに視界が開けた。落石が転がる林道が崖っぷちに延びている。
上は岩盤の絶壁。
下は河原まで直滑降の谷だ。軌道は本当にこんなところを通っていたのかと思ったが、他に通るルートがないのならここを通っていたのだろう。
更に少し進むと神社と登山道の分岐があった。一応お参りして先に進む。登山じゃないけど。
そして次の橋が現れた。
名前は本谷橋。九蔵本谷を渡る唯一の橋だ。
例の橋脚があるならこの付近か?軌道が林道に転用されているという前提だが。
!! 橋から下流を見ると草木の向こうに影が見える。そう遠くはない。慌てて林道を引き返す。
あった!
青屋森林鉄道 2へ続く
参考文献 国有林森林森林鉄道全データ 中部編 信濃毎日新聞社刊