人生崖っぷち(物理)

森林鉄道、廃道、廃隧道など

八ヶ岳(湯川)林道 ~八ヶ岳林用軌道~2023 その4

川から這い上がった地点まで戻ってきた。ここから起点に向かって未踏破部分を進む。

上流部分は比較的しっかり路盤が残っていたが、こちらはどうだろう?

先が見えないカープを曲がる時いつも胸がドキドキする。不正脈かな。

苔むした倒木や岩が目立つ。

苔がちょっとした庭園の雰囲気を醸し出している。(私見

前方に広がる斜面。崩落、いや、橋(桟道)の跡だ。

足元に降りてみるとやや崩れ気味な石垣の橋台が。

そして反対側には、きれいな石垣の橋台が残っていた。これまでろくな遺構がなかったので少しテンションが上がった。

先を急ぐ。

見晴らしのいい場所でははるか遠くの1点を目指して軽快にといきたいが、やはり足元を確かめて1歩1歩確実に進まなくてはいけない。

下方に折り返して降りていく軌道跡があるはずだが、それらしきものはまだ見えない。

崩落したのか、起伏に富んだ場所もある。

ゆるやかなカーブを描く道の向こうが明るくなってきた。

とうとう稜線に着いてしまった。確かに斜面で切り返すよりも稜線のほうが曲がりやすいのだが。

・・・だが目の前に広がったのは予想以上に広く、低い熊笹が茂った平地だった。起伏もほとんど感じ取れないこの広場で軌道はどこに行った?


   八ヶ岳(湯川)林道 ~八ヶ岳林用軌道~2023 その5へ続く

 

八ヶ岳(湯川)林道 ~八ヶ岳林用軌道~2023 その3

 

川上へ向かって歩き始める。レールや枕木は見当たらない。

路盤がしっかり残っていると思ったら・・・

あっという間に跡形も無くなってただの斜面に。

だが、そこを抜けると安定した路盤が復活した。

でっかい落石が鎮座しているのは、分かりにくいが炭焼き窯の跡だ。

このあたりは下草も少なく歩きやすい。

熊笹が目立ち始めると、はっきりとした踏み跡が姿を現した。それなりの行き来、というか使われているのか?

だんだん茂ってきた笹藪をかきわけて進む。

と、前方の路盤が少し窪んでいる。小さな沢があるようだ。

だいぶ乱れているが起点側には橋台の石垣が残っていた。多分架かっていたであろう木橋は残念ながらない。

ぬっ!?

レ - ル だぁ! 1本だけひっくり返ったレールが転がっていたのだが、敷設されたものではない。外された1本が理由は不明だが放置されていたようだ。

いつのまにか70m下にあった川がすぐ側まで近づいてきた。

左の斜面に押されるように路盤は川に向かって途切れていた。

川のほうを向くと路盤の高さから1段低い地面があって、川面へ落ち込んでいる。

川上を見る。今居る右岸の上流は川が下を流れているため斜面になっている。ならば対岸に渡っていたのか?

あらためて見なおした地理院地図では表記されている破線道と軌道跡は微妙にシンクロしている。最初はこのまま川沿いに進むのかと思ったが、よく考えたら川面に追いつかれた時点でそれはない。

ならばと地図の破線道を見てみると、多少ぶれているが対岸に渡って折り返して高度を上げている。軌道は緑の矢印のように進んでいたのではないだろうか?

しかし対岸にある筈の道を眺めてみたが、どうやら崩落しているようだ。時間的に折り返しのタイミングだったのでここで戻ることにした。ショートカットした未踏破部分を目指そう。

   八ヶ岳(湯川)林道 ~八ヶ岳林用軌道~2023 その4へ続く

 

八ヶ岳(湯川)林道 ~八ヶ岳林用軌道~2023 その2

ゲートを越えて歩き始める。多少落石や倒木があるようだ。

多少じゃなかった。崩落地点では大きな石がごろごろ転がっている。はるか手前で通行止めになっている以上、奥地も整備されていないので仕方がないが。

この辺まで来た。ぐるりと周って再び川上へと向きを変える。

この辺りは岩壁が続いている。おかげで軌道跡が少なくとも山側にないことをおしえてくれるのでありがたい。

レールの柵だ。もし自宅の柵が林鉄のレールだったら嬉しいだろうな。

猿の腰かけ。が生えた木。が岩に腰かけている。

そびえ立つ岩壁は見ごたえがあるが、肝心の林道からの軌道の分岐が分からない。

道がやや急になってきたところで軌道跡ではなくなったと確信する。しかし分岐して川を渡る地点は分からなかった。

  

砂防ダムだ。河原にも簡単に降りることが出来そうだ。

ここで本来のルートを探すのならダムを降りて川下に向かうべきだが、どうせ戻ってくることになるし、最奥と言わずともなるべく奥を見てみたかったので川上へ向かう。探索としては邪道かもしれないが私が好んでやるショートカットだ。

対岸に軌道跡がないか目を皿にして探すが低いところにそれらしきものは見当たらない。もっと高い場所なのか。

らちが明かないため再度砂防ダムがでてきたところで斜面を登り軌道跡を目指すことにした。

だが熊笹の密度が容易な登攀を妨げていた。登れなくはないが手間取りそうだ。

しかし幸運なことにその先で草が生えていない斜面が広がっていた。登ろう。

がむしゃらに登り始めたが、しばらくして微かな踏み跡を見つけた。これ幸いと辿ることにしたが人の踏み跡だよな?

しかし30分近く登っても(久しぶりの探索と仕事疲れでペースは言わずもがな)軌道跡が見つからない。スマホで見ると6、70m近く登っているはずだが・・・林道の高さから軌道はそんなに高度を上げているのか?

下をみると河原も見えなくなっていた。

あっ

着いた!軌道跡に違いない。

何はともあれ林道化を免れた軌道跡にようやくたどり着いた。。

ちょうど登ったその場所では、特徴的な板状節理が出迎えてくれた。さて奥へ進もう。

  八ヶ岳(湯川)林道 ~八ヶ岳林用軌道~2023 その3へ続く

 

八ヶ岳(湯川)林道 ~八ヶ岳林用軌道~2023 その1

9年ぶりの南牧村だ。ちょうど鉄橋を小海線が通り過ぎていった。

国道より湯川の上流の山並みを望む。今回の目標は林道沿いから外れた部分の軌道跡を見つけることだ。まずはその分岐まで林道をひたすら進むことになる。

営林署の看板も久方ぶりだ。

湯川と小海線に沿って流れる千曲川の出合い近くにある南牧保育園。歩鉄の達人さんによると、ここが貯木場だったそうだ。

そこから上流方向へと向かう道が軌道跡と思われる。途中で小海線の下を潜る。

と、そこで振り返ると現在の橋梁の横に橋台がもうひとつ。小海線は単線なので新橋梁の建設によって生じた旧線跡か?

畑の中を道が真っ直ぐに貫いている。

レタスだろうか、緑の畑が広がっている。農家の人が忙しそうに働いていた。

1箇所切通しがあったが、軌道のために開鑿したのかは分からない。

車道はここで左に曲がっているが、前にも軌道跡と思しき小さな道が続いている。この先は行き止まりになっているようで、軽トラを停めて作業をしていたのが見えたのでこの道をたどるのはやめた。

ひとつ隣の道から見る。軌道は黄線のように現在の畑の端、山裾を進んでいたと思うのだが詳細は不明。

今の道もしばらく走ると林道っぽくなった。畑も民家も無くなったあたりからが軌道跡だと思われる。もしくは並行しているはずだ。

川に沿って進む。左は川、右は斜面。

途中下り坂があったが、山から降りてくるトロッコにとっては登り坂になってしまうので基本ありえない。この辺の道は軌道跡ではないのだろう。

しばらく進み、ふと右の山側を見ると平場が見えた。

登ってみると水路の跡だった。前回見つけた水路らしきものと同じだろうが、ここは1部内側にも石垣があった。その傾斜から軌道跡を転用した可能性もある。

砂防堰堤の入口に車を停め歩き出す。

すぐ先で未舗装になった林道には一般車両進入禁止の看板がある。そのためというよりは林道の状態が分からなかったため念のために歩きに切り替えたのだ。

幸い林道の状態は良く天気も上々だ。

この辺から山側に湧き出る水が増えてくる。

虹だ。

ちなみに冬になるとこのような氷柱が数多く出現し、奥に行くと、この湯川渓谷の名物である氷瀑も見られる。(2014撮影)

レールの柵が立っている。

でも出来れば敷設されたままのほうが見たい。

軌道のコンクリートの橋桁。と初見は思う物体。

正体はご覧の通り中にパイプが入った水路橋だった。紛らわしい。

おや

全面通行止めだ。

左には水路橋?があるが取りあえず関係なし。

立入禁止ではなかったため前進すると土砂が崩落していた。これが理由か。

湯川橋にたどり着いた。

軌道もこの辺りで渡っていたはずだが橋脚や橋台は見当たらない。

橋を渡ってすぐにゲートがある。

日本鉄道旅行地図帳によれば、もうしばらく進むと川を渡り林道沿いから軌道跡は離れるはずだ。そしてつづら折りの要領で更に奥へと延びているはずだが・・・

    八ヶ岳(湯川)林道 ~八ヶ岳林用軌道~2023 その2へ続く

 

   参考サイト 歩鉄の達人様

   参考文献 日本鉄道旅行地図帳

八ヶ岳(湯川)林道 ~八ヶ岳林用軌道~2014

 

 

長野県南佐久郡南牧村にある湯川渓谷には林用軌道が走っていた。トロッコ復元活動で有名な八ヶ岳森林軌道とは別物だ。2014年に長野方面で行った探索のひとつである。それと有名な歩鉄の達人氏がレポートを記している。

営林署の看板。といってもこれは軌道より後年のもの。林野庁の一覧表によると延長14.8km。大正14年から昭和18年にかけて稼働していたとある。

農地や民家が見えなくなると林道の上の方に一部平場を発見。軌道跡?というより、えぐれているので水路っぽい?

更に広い平場を発見。断片だが。

充分な広さがあるので軌道跡だと思うが確証は得られない。

更に林道を奥に進むとここに軌道があった確かな証拠が・・・

森林鉄道ではお馴染みのレールの柵だ。

落石ネットの支柱にも使われていた。

しかし肝心の軌道跡は今ひとつ分からなかった。部分的に見つけた平場が怪しいが、大部分は林道化で潰されたと見るべきか。

ただ、うどんを食べた日帰り温泉(現在はやっていない)で1枚だけ軌道が写った写真を見かけた。軌道上を人が歩いている。杖を持っているのは好感が持てる(笑)ではなくて登山客なのか?

写真は湯川渓谷の農地が広がっているあたり、上流を向いて平地の右端あたりと見えるので、上の写真の右端に写っている道のどこかだと思われる。

歩鉄氏のレポートではたまたま立ち寄ったということもあって、極々最初の部分しか探索されていない。そして私も多少奥まで歩いたが、あくまで林道沿いしか調べなかった。それ以来興味を失っていたのだが、ふと、奥に行きたくなった。

 

   八ヶ岳(湯川)林道 ~八ヶ岳林用軌道~2023 その1へ続く

 

      参考サイト 歩鉄の達人様

            林野庁

十二町潟横断橋

仕事の疲れとネタ不足でしばらく更新を不安定になります。でも1週間にひとつはUPしたい。という訳で今日通りかかって見つけたものを。

ずばり、タイトルの十二町潟横断橋。なかなかインパクトのある外見だ。

富山県氷見市の十二町潟の公園に架かる歩道橋で分類は斜張橋(塔から張られたケーブルで橋桁を吊り、支える構造の橋)

縦横無尽に張り巡らせた塔とケーブルが特徴の橋。自分はパッと見、高圧鉄塔とか電車のパンタグラフを連想した。

見づらい説明板(笑)デザインのモチーフになったのは昔の漁法の網と見張り小屋だそうだ。

通り慣れた道を少し外れただけでこういう出合いがあるのはちょっと嬉しい。

あと、デザイン優先の準交通用の橋ということで、あわらのあやとりはしを思い出した。複雑な構造は同じだが、シンプルな部材で造られたという点は十二町潟横断橋に軍配が上がりそうだ。

しばらくは単発ネタをぼちぼちやっていき・・・いけたらいいなぁと思っています。

 

          十二町潟横断橋 完

水路橋 4 混凝土 廃、休

久野原水路橋(仮)

和歌山県

国道を走っていて二度見した物件。対岸の斜面を通るコンクリート水路橋群。見た目の通り古くは無いが、最初はモノレールでもあるのかと勘違いして興味を持った。

少し上流で川に流れ込む沢の奥から水路が引かれていた。

水は流れておらず廃もしくは休止中のようだった。

橋梁部分が始まる。

休止中だとなんなので橋上には足を踏み入れなかった。対岸から丸見えだし。

この急斜面もそうだが対岸から軽い地滑りの跡も見えたので、こんな水路橋を造ったのだろう。地形図を見ると下流の集落に水を供給していたと思われる。

河原に降りると足元の岩盤が・・・これは板状節理か?

土木遺産系とはまた違う普通の、ある意味マニアックな水路橋でした。

 

市川の水路橋(仮)。

兵庫県

すぐ手前で斜めに水を吹いている鉄パイプは一応現役のようだが、左に曲がった雨どいの部分や全体の雰囲気は濃厚な廃の気配を醸し出している。半現半廃というべきか。

川が大きく曲がった場所に架かっており、写真奥のほうが上流になる。

武骨な鉄骨で斜めに支えた方丈橋のバックに石垣アーチが連なっている。良し!

市街地の至近に存在する見事な水路橋でした。

 

日野川の水路橋。

鳥取県。川は大きくはないが水量と深さはなかなかだ。

国道からちらりと見えたので近づいてみたが単純な造りだ。とはいえなかなかの風格をしていた。

もっと人けがないとこならちょっと渡ってみたかった。

 

栃谷の水路橋(仮)

和歌山県

川の出合いに架けられた巨大水路橋。対岸の道路からは木々に遮られ見えにくく気付かれにくい。

林道の橋に隣接しているが車は入って来れず、歩いての接近となる。

四角錐のぶっとい橋脚とそれを貫く桁が独特の形を形成している。

橋脚の形も相まって下から見上げると更にヨシ!

そして水路橋の根元に鎮座する不動明王。ずっと見守り続けてくれている。

 

         水路橋 4 混凝土 廃、休  完