やっとコブ谷に到着した。6月だけあって緑が生い茂っている。
緑に包まれた谷の奥に目を凝らすが、路盤らしきものは ”何も” 見えない。おかしい。考えられる正解としては谷への入り口はここではなかった、木製の桟道で出来た作業軌道のようなものだった、完全崩壊してしまった、それとも・・・
谷底に降りて遡行を開始する。
しばらく歩いてみたが右岸、左岸ともに路盤らしきものは確認できず。
小さな滝が現れた。無論、軌道が存在するのなら影響を受けない高所を通っているはずだが・・・
右岸を高巻きして乗り越える、が
やはり路盤は確認出来ず。自分の目が節穴なのか、それともここに軌道は無いのか。
出発して1時間、目の前に平らな河原?が現れた。
洗い越しだ。地図で前もって林道と交差しているのは知っていたが、てっきり橋が架かってると思っていた。そして林道へのエスケープ地点として目星を付けていた場所でもある。谷はまだ続いているがこれだけ歩いて何も発見出来なかったなら仕切り直すしかない。失意のうちに撤収・・・となるところだが想定外の隧道というご褒美が待っている。だから悔しくなんてねえと自分に言い聞かせながら隧道の谷へと転身した。
尾上郷森林鉄道 第四話 へ続く