人生崖っぷち(物理)

森林鉄道、廃道、廃隧道など

手彫りのトンネル その1 丹生谷の吊り橋50選より 

2020年に四国の徳島を徘徊していた時、よくある観光案内のパンフレットのコーナーの中に” 丹生谷の吊り橋50選 ”という案内絵図を見つけた。地域再生塾丹生谷応援団が平成22年製作とあり、徳島県那賀町を流れる那賀川とその支流の吊り橋が地図と写真で紹介されているのだが、恐るべきこと(笑)に廃吊り橋も写真のみだが数点紹介されている。まぁ、廃好きのためではないだろうし、危険個所に容易に近づかないようにと注意書きがあったが。

そして吊り橋以外にも史跡や用水、索道に棚田などが紹介されているのだが、その中に手彫りのトンネルというタイトルの写真があった。あったのだ。しかも3つ。実はそのうちの一つは割と名の通った物件で既に攻略済みだったが残りの2つは知らなかった。ならば行くしかあるまいとなるところだが、その直前に奇縁というべき出会いがあった。

2つのトンネルを見に行く前に、別件の探索を終えて国道まで戻って来ると一人のご婦人が写真を撮ろうとしているところに出くわした。少し話をしてみるとなんと丹生谷の吊り橋50選の製作に携わった方だというのだ。こんなこともあるのだなぁと驚きつつも、絵図には書かれていなかったある情報を聞いて一つ目のトンネルに向かった。

那賀川本流を離れ支流の更に支流に入っていく。

支流の支流といってもそこそこの大きさの川だ。

地図によるとこのあたりにあるはずだが・・・!

あった!小さな素掘りの隧道が口を開けている。

川が大きく湾曲している場所をショートカットするためにこの隧道は掘られているが、教えてもらったその用途はなんと木材の搬出のためだという。

年代など詳しいデータは不明。

そして、通るためには無視できない入口のコイツ。

スクーターとしか分かりませんでした(笑)あまり興味がないためスルーしてきたが、メーカーぐらいは確認して来ればよかった。誰か分かります?

洞内は岩盤を穿った素掘りの状態だ。

地面は岩ではなくて土の地面だ。轍はない(笑)

入口を振り返る。スクーターの大きさからして車は無理だと思われる。

大きさからして軌道、木馬道、牛馬道あたりか・・・。軌道はないと思われる。人力か牛馬で曳いたか?

途中1カ所だけ崩落があった。

上流側だ。全長は100m弱ぐらいか。目算で距離を測るのは苦手だ。

こちらは日当たりもよく、やや緑に隠れ気味。

明治40年測量昭和8年修正の地図にはこの隧道は描かれていない。道は対岸の破線道しかなかったので、それ以降にこの左岸に道と一緒に造られたと思われる。そして車道規格の林道の開通によって使用されなくなったのだろう。

 

   手彫りのトンネル その2 丹生谷の吊り橋50選より へ続く

 

参考文献 丹生谷の吊り橋50選 製作:地域再生塾丹生谷応援団 徳島大学地域再生