謎の金具は気になったが、それ以上に気になったのが前方だ。路盤の痕跡が見えない。
少し進んでみたがどう見ても路盤はない。百歩譲って木製桟道の作業軌道・・・もなさそうだ。
どうやら路盤は金具を見つけた地点(写真)が終点だったようだ。戻った後、念のため上方も見てみたがインクラインらしきものもなかった。が、先ほど見つけたあの金具からワイヤーが川の方へ延びていた・・・
川向うに延びるワイヤーの網目。吊り橋か!・・・吊り橋?
吊り橋だと軌道は渡っていないのか?吊り橋の林鉄橋もあるがこの細いワイヤーを見るとトロッコが渡っていたとは思えないのだが?
とりあえず対岸に渡るために河原に降りる。
谷を跨ぐワイヤー群。選択肢としては
①トロッコが渡れる軌道用の吊り橋
➁人道橋の吊り橋
③実は木橋があったがあとかたもない。吊り橋はその後架けられた。
下にレールが1本落ちていた。
対岸にそそり立つ2本のレールにからむようにワイヤーが延びていた。
橋の対岸に当たる位置はこんな風に浅い掘割になっていた。
ボロボロになった木の支柱の残骸が残っているが原形を留めていない。そして中にそそり立つ柱からここを軌道が通っていなかったということが分かる。やはり➁の人道橋が正解か。
そしてちょっとした広場が広がっている。
遺留物から宿舎か作業小屋があったのではと思われる。土場も兼用か?
ちなみにこの場所は本流と沢が交わる角の部分になるが、ここへは唯一吊り橋だけが通じている。
レールはあったが本来の用途ではなく何かの部品や建材に使われた感じだ。ここを拠点として伐採、軌道まで木馬道や架線(ワイヤーによる吊り下げ輸送)などで運ぶ、と妄想ははかどるが、手元に全く資料がないので想像の域を出ない。資料か証言が欲しい。
そして撤収時にしばらく河原を歩いたのだが、レールを何本も見かけることになった。軌道は吊り橋の地点まで出来ていたと見て間違いないだろう。ただ、未確認だが中津川に入るもっと手前で工事が中断されたという話もある。やはり資料か証言が欲しい。
あとは帰るだけ、といいながら行きとは違った光景をパシャリ。
警告の看板は流用品だった。
1時間強で遊歩道入口まで戻って来た。1本道で距離もそこまで長くはないが、ここに来るまでが大変な物件でした。
紀伊半島の森林鉄道・林用軌道群④ 亀谷森林鉄道 完