人生崖っぷち(物理)

森林鉄道、廃道、廃隧道など

河原の大岩隧道(?) 完結編

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メインディッシュを堪能したので残りを片付けよう。まずはこちら。と言っても小ネタの二分の一ぐらいのネタだが。

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斜面の中腹に開いた穴。踏み跡さえない斜面をつたって穴の前のわずかな平場に立つ。

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石垣で半ば隠されたこの穴の奥は?

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コンクリの壁でした。現地ではなんじゃこりゃと分からなかったが、後に取水ダムの写真を見て気付いた。この奥には前編で解説した発電所への水路隧道があるのだ。自然の窪みがあったのか工事のために掘ったのかは分からないが、道路からは見えない場所にあるのにわざわざ石垣で半分だけ隠す意味はあったのだろうか?

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 次はもう一つの穴、いやこちらはまごうことなき隧道だ。さっきは入口から覗きこんだだけだが、今度は車からライトを持ってきて準備万端だ。しかし流木が多くてえらいことになっている。現在の川面からはそこそこ高い場所にあるのだが、大雨の時にでも流れ込んだのだろうか?

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 流木の山を降りると水没していた。深さはそれほどではない。それはいい。が、何とも言い難い臭いがした。木が腐って澱んだ空気といえばいいか。清流が流れる河原からのコレは自分にはきつかったので奥へ行くのはやめた。

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望遠で撮ると最奥部はコンクリで塞がれているのが確認できた。 うん、無理して行く必要もなさそうだ。

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 この時はもしや軌道か木馬道かと少しどきどきしていたがヨッキれんさんがこいつの正体を一刀両断してくれた。これはダムを建設した時に川の水を迂回させるための仮排水隧道だというのだ。なるほど!

 

さて、残るは大岩隧道の正体だが、最初は林業関係のものではないかと自分は思っていた。なぜなら紀伊半島の川沿いで普通じゃない隧道というと林業がらみしか知らなかったから。(すごい偏見です)しかし具体的に考えると首を傾げざるを得ない。軌道、木馬道用は言わずもがな、索道用としても大きさと位置や高さが川に近すぎるような気がする。木を流して運ぶための木流し用(大滝という難所を回避するための隧道が紀伊半島にはある)であの大岩を越えるため・・・だいぶ無理がある。また、隧道の床は水平で水が流れやすいような傾斜ではなかった。

これが隧道でなく橋梁なら

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 こんなのとか

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こんな風な大岩の利用例はあるのだが。(二枚目のこの写真を見てたら大岩上のブロックが橋脚か橋台に見えてきた)

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林業用で無ければあとはダム工事がらみか。当時のダム工事を知る方に伝手でもあれば候補を絞り込めるのだが流石にそんなものはない。結局この穴の正体は不明である。

 

以上のレポートを書いた後、” 山さ行がねが ”で正体が明かされた。ぜひ正解はあちらのレポートをご覧になって頂きたい。http://yamaiga.com/tunnel/nanatai/main3.html#part2

なにはともあれ紀伊半島の魅惑の(変な)隧道がまたひとつ世に広まったことに変わりはない。

 

               河原の大岩隧道(?) 完