人生崖っぷち(物理)

森林鉄道、廃道、廃隧道など

古座川町の隧道の下の隧道

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私がこの隧道を知ったのは一杯のかき氷のおかげである。 紀伊半島の最南端に位置する古座川町。その名の由来となった古座川を探索のため上流へと向かっていたが、道の駅一枚岩を過ぎてしばらく進んだ後、食事をする店がないことに気づいた。それどころか食品を売っている店さえも見当たらない。さてどうしようと思っているとのぼりが立った一軒の建物が視界に飛び込んだ。どうやらレンタサイクルもやっている休憩所といったところか。一縷の望みをかけて聞いてみると食べ物は・・・かき氷のみ・・・しかし背に腹は代えられないのでこれがその日のランチとなった。(特産のゆずのシロップ美味しかった)そしてかき氷をたべながら自然と雑談となり、実は木流し隧道とか林用軌道跡を見に来たんですよとしゃべっていると、お店にいた方の一人が中崎というところの川沿いの道のトンネルの下にも木流しのために掘られたトンネルがあると言う。そして道からは見えないと。これは行くしかない。

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別の探索を終え、教えられた場所に着いた時には5時半を回ろうとしていた。

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水深が浅く広々とした河原が広がっている。水遊びにはちょうどいいが、木を流すには苦労しそうな地形だと思った。

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 少し手前で坂道となり、登り切ったところに現れる短い素掘りのトンネル。名称は不明。この辺りの川に沿って蛇行した部分をショートカットする中崎トンネルが近年開通しているのでこれは中崎隧道(旧)か?

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 トンネルの脇(下流側)から覗きこんでみるが、聞いた通りそれらしきものはここから見えない。

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 少し戻って坂の手前で川に入るが、こんなこともあろうかと長靴でなくウォーターシューズを装備しているので多少無理がきく。

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 上流に目を凝らす。川霧が漂う水面の向こうに暗闇が見えた。あった。隧道だ。

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そのまま近づいて中に入ろうとしたが徐々に深くなっていく。が、こんなこともあろうかと海パンにTシャツだ。が、首まで水がきて右手のデジカメが防水じゃなかった時点で撤退を選択する。デジカメを河原に置いてくれば泳いで行けたが、何かに負けた気がするのでその選択肢はなかった。

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それならばと上流側へと回り込んでいく。

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 ちょこんと突き出た大岩でそこまで大きくはない。

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右上に道路のガードレールが見える。あの高さなら・・いや、それは後だ。

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いかん。こちら側も近づくにつれて深くなっている。実に遺憾・・ごほごほ 

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もう一度下流側に回ってズーム。でっかい流木がつっかえてる。

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一度車に戻って着替え、トンネルの上流側から覗き込む。急斜面だがなんとか行けそうだ。

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行けた。さっきまでの苦労はいったい・・・。

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気を取り直してフラッシュでもう一枚。

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下を見ると岩盤で水は溜まる程度しかない。木を流すならもっと水量がなければならない、それに突き出ているとはいえ、わざわざ隧道を掘らなければいけなかったのか。当時の河原の様子が知りたいものだ。

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ちょっと幻想的な風景だ。

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 最後の写真は6時半をまわっていた。だいぶ遅くなってしまったが逆に観光用のカヌーや釣り人に気兼ねせずに写真を撮ることが出来たので良かったというべきか。

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首まで水に浸かってそのまま動き回っていたので温泉に行ってさっぱりする。それにしても予想外の物件との遭遇・・・やはり現地民は最強でした(笑)

 

             古座川町の隧道の下の隧道 完   探索日2020/7/30