人生崖っぷち(物理)

森林鉄道、廃道、廃隧道など

八ヶ岳(湯川)林道 ~八ヶ岳林用軌道~2023 その5

稜線に足を踏み入れて辺りを見渡す。細い踏み跡が左に伸びていたのでふらふらとそちらに行きそうになるが踏みとどまる。路盤はどこだ?よく見て、考えろ。

赤い線の軌跡が通ってきたルートで、これから緑のラインのように斜面を下っていく筈だが・・・稜線への突入角、足元からの傾斜、木の生え具合などから

ここに違いない!多分!一定の広さを持った平場が続いているように見える。

予想していなかったのは、すぐ斜面の方に行くのではなく、稜線の中にある浅い谷間へと入り込んで行ったことだ。

確信はなかったが、ほぼ真っ直ぐに歩きやすい平場が続いている。

谷の中央部。といってもなだらかな平地が広がっている。土場や事務所があってもおかしくないぐらいの場所だ。

谷の中央に差し掛かったところに小さな沢が流れていた。そこに・・・石垣?いや、片方は崩れているが明らかに橋台だ。ここで初めてはっきりとした遺構を確認した。

しかしその先で軌道跡を完全に見失ってしまった。谷底のどこかを走っているはずだがはっきりしない。仕方ないのでとにかく下っている方へ歩いていく。

歩いているうちになんとか軌道跡を見つけることが出来て路盤に復帰する。谷を挟んだ反対側の斜面を進んでいたのだ。

大きな地図では単純に方向転換していたが、そうではなく地形に沿って複雑なラインを描きながら曲がっていく。

路盤を見失うことはないが微妙に茂った熊笹が地面の凹凸や倒木を隠し、スピードを上げることが出来ない。この時は少し気が急いていた。

すでに時間は3時を過ぎ、日が傾いてきている。未だに降りるべき谷底から150m上の稜線をさまよっているというのに。

切通し、というより掘割か?が現れた。

左にカーブしていく。

ようやくこれから降りていく斜面側に出ることができた。

左上からの踏み跡は1枚目の写真で言及した踏み跡の続きと思われる。軌道はぐるりと大回りして高度を下げて方向転換してきた訳だ。

ぐわー。前方に身長より高い熊笹の藪が。

助かったことに中に踏み跡があったが、リアルにトトロの草のトンネルみたいになっていた。

崩落だ。しかしクリティカルというほどではない。さっきと通り過ぎる。

岩を削った岩壁を見るといかにも林鉄という感じがする。まあ、古道とかもそうだけど。

曲がり角を曲がった先は浅い切通しと見えない地面。嫌な予感。

ごっそりと消えた路盤は崩れたか桟橋だったのか。

行けないことはない。だが3時半を過ぎてこのレベルの斜面をたどって降りていくのは一抹の不安があった。暗闇の斜面にトラウマがある。

撤収。

地図を見るとすぐそばに尾根があったのでそこを下ることにした。

幸い途中で崖など現れず30分ほどで下まで降りることが出来た。

そこから更にさまよう。

なぜなら写真のように谷になっているため渡ることが出来ないのだ。白い部分の上が今朝歩いていた林道なのに。

しばらく歩くとなんとか渡河できそうな地形になった。

ちょっぴり浸水したがなんとか渡河できた。

林道まで上がればあっという間に車に到着した。探索終了。だが未踏破の部分は多く、満足できる結果とは言えない。次が必要だ。

野辺山高原蕎麦屋さんでもつ煮定食を食べ帰路に就いた。美味でした。

 

            次回未定